立冬から小雪、愛犬の生命力を蓄える季節
11月7日頃の立冬から12月6日頃の小雪まで。暦の上で冬が始まり、本格的な寒さに向かう準備の時期です。中医学では、冬は「腎」を養う最も大切な季節。腎は生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長、老化、生殖に深く関わる臓器なんです。
この時期、愛犬の体は自然と「エネルギーの温存」モードに入ります。春夏に消耗したエネルギーを内に蓄え、次の春に向けて力を溜める。そのために必要なのが、腎を補い、体を温め、陽気を養う食養生です。
立冬から小雪の約1ヶ月は、本格的な冬に備える準備期間。この時期にしっかり腎を補うことで、冬を元気に乗り切り、春に向けての体力を蓄えることができます。愛犬の若々しさを保ち、老化を予防し、冷えから体を守る。そんな冬の食養生を、一緒に始めていきましょう。
冬と腎の深い関係
中医学では、季節と五臓六腑には深い関係があると考えられています。冬に対応する臓器が「腎」なんです。
腎とは 腎は単なる腎臓ではなく、生命力の源である「精」を蓄える臓器。成長、発育、生殖、老化のスピード、骨や歯の強さ、耳の働き、排尿機能、水分代謝など、広範囲の機能を司っています。
冬に腎が弱りやすい理由 寒さは腎を直撃します。体が冷えると、腎の陽気(体を温める力)が消耗され、腎の働きが弱まるんです。特に足腰、耳、腰回りは腎と関係が深く、冷えやすい部位。
この時期に出やすい不調
- 足腰の弱さ、冷え
- 排尿トラブル(頻尿、尿漏れ、夜間の排尿)
- 耳のトラブル
- 歯が弱くなる
- 被毛の艶がなくなる
- 元気がない、疲れやすい
- 老化が進む感じ
- 腰や後ろ足の痛み
- 寒がり、震えやすい
これらは腎虚(腎の働きが弱った状態)のサイン。冬の間にしっかり腎を補うことで、こうした不調を予防し、改善することができます。
中医学では、腎に蓄えられる精は、両親から受け継いだ「先天の精」と、日々の食事から作られる「後天の精」の2つがあります。先天の精は限られていますが、後天の精は食養生で補うことができる。だからこそ、冬の食養生が大切なんですね。
冬の始まりの過ごし方
冬は「エネルギーの温存」の季節。エネルギーを外に発散せず、内に蓄える時期です。
早寝遅起きを心がける 日の出が遅くなり、日の入りが早くなる冬。自然のリズムに合わせて、愛犬も早めに休ませ、朝はゆっくり起きる。無理に早朝の散歩をせず、日が昇ってから出かけるのが理想的です。
体を冷やさない 寒さは腎の大敵。特に足腰、お腹、耳を冷やさないよう気をつけましょう。散歩は日中の暖かい時間帯に。冷たい床に長時間寝ている場合は、マットやブランケットで保温を。
無理な運動は控える 冬は「エネルギーの温存」の季節。激しい運動で汗をかき、陽気を消耗するのは避けたい時期です。穏やかな散歩や、室内での軽い遊びで無理をしない事が大事。体力を温存することが大切なんです。
水分補給を忘れずに 寒いと水を飲む量が減りがち。でも、室内は暖房等で乾燥していたりします。適度な水分補給を心がけて、腎の働きをサポートしましょう。
精神的な安定を保つ 冬は静かに過ごす季節。大きな環境変化や、過度なストレスは避けて、穏やかな日常を心がけることが、腎を守ることにつながります。
日光浴を取り入れる 晴れた日の日光浴は、体を温め、陽気を補ってくれます。短時間でも良いので、日向ぼっこの時間を作ってあげましょう。
冬の始まりに取り入れたい食材
冬の食養生の基本は「腎を補い、体を温め、陽気を養う」こと。今回は、1年を通して気にして欲しい「腎(じん)を元気にする食材一覧」を紹介しています。
温かい調理法を選ぶ 煮る、蒸す、スープにするなど、温かい調理法を選びましょう。生ものや冷たいものは、この時期は控えめに。体を内側から温める食事が、腎を守る基本です。
塩味を少し取り入れる 中医学では、冬の味は「鹹味(塩辛い味)」。適度な塩味は腎に入り、腎を補うとされています。ただし、与えすぎは禁物。ほんの少しの自然な塩味を意識する程度で十分です。
食べ過ぎに注意 冬は代謝が落ちる季節。食べ過ぎは消化器に負担をかけ、かえって気を消耗します。腹八分目を心がけ、質の良い食事を適量与えることが大切なんです。
冬支度は今から
立冬から小雪の時期は、本格的な冬に向けた準備期間。この1ヶ月で愛犬の体を整え、腎を補い、陽気を蓄えておくことが、厳しい寒さを乗り切る力になります。
「冬に蓄えたものが、春に花開く」
これは中医学の基本的な考え方。冬にしっかり養生することで、春には元気いっぱいの愛犬の姿が見られるはず。黒い食材、温かい食事、穏やかな生活リズム。小さな心がけの積み重ねが、愛犬の生命力を守り、若々しさを保つ秘訣なんですね。
今日から始める冬の食養生。愛犬と一緒に、心も体も温かく、穏やかな冬を過ごしていきましょう。


