心を静め、体を引き締める
蓮の花の中にできる「蓮の実」。中国や台湾などでは昔から薬膳素材として親しまれ、滋養食として長く活用されてきました。派手ではないけれど、ゆっくりと体を満たすような穏やかな力を持っているのが特徴です。中医学では「心・脾・腎」に働きかけるとされ、体と心を両方サポートする食材として扱われます。愛犬の年齢や季節に関係なく使いやすく、優しさと安定感のある素材です。薬膳初心者の飼い主さんでも、生活に取り入れやすいのが蓮の実の魅力です。
帰経について
蓮の実は心、脾、腎の3つに働きかけます。「心」は精神活動や血液循環を司る臓器。「脾」は消化吸収や筋肉の生成を担当し、「腎」は生命力の源であり、成長・発育・生殖・老化を管理しています。つまり、蓮の実は愛犬の精神の安定、消化機能、そして生命エネルギーの根本という、心と体の基盤を総合的にサポートしてくれる食材なんですね。
五性について
蓮の実は「平性」に分類されます。これは体温に大きな影響を与えない、中立的な性質なんです。温めすぎることも冷やしすぎることもないので、季節や体質を選ばず使えるのが特徴。暑がりの子にも寒がりの子にも、元気な子にも虚弱な子にも安心して与えられる、とても扱いやすい食材です。長期的に継続して取り入れやすいのも平性の大きな利点ですよ。
五味について
蓮の実は「甘味」と「淡味」の両方を持つ食材。甘味には「気を補う」「緊張を取り除く」「胃腸の働きを高める」という作用があり、淡味には「利水する(余分な水分を出す)」という作用があります。この2つの味の組み合わせが、蓮の実の体を補いながら余分なものは出すという、バランスの良い働きを生み出しているんですね。
効能について
生命エネルギーの源である「精」が漏れ出るのを防ぎ、体に留める作用です。頻尿、尿漏れ、精液漏れ、体力の消耗が激しいといった症状に。蓮の実は腎に働きかけて精を固めることで、大切なエネルギーが体から漏れ出るのを防いでくれます。特に虚弱による漏れる症状に効果的。シニア犬の排泄トラブルや、体力が落ちて精力が衰えている愛犬にも心強い味方です。精を固めることは、生命力を保つことにつながるんですね。
各種の出血を止めて、血を体内に留める作用です。血便、血尿、鼻血、不正出血といった症状に。蓮の実は収斂作用(引き締める作用)によって、漏れ出る血を止めてくれます。特に虚弱や精の不足による出血に効果的。体力が落ちて出血しやすくなっている愛犬や、慢性的な微量出血が続く場合に適しています。止血しながら体を補う性質が、蓮の実の優れた点なんです。
腸を引き締めて、下痢や軟便を改善する作用です。蓮の実の代表的な効能の一つです。慢性的な下痢、軟便が続く、お腹が弱い、食後すぐに排便するといった症状に。蓮の実は脾と腎の両方に働きかけることで、緩んだ腸を引き締め、便をしっかり形成してくれます。特に虚弱による下痢に効果的。ストレスで下痢しやすい愛犬や、シニアで腸の機能が弱ってきた子にもおすすめです。引き締めながら栄養を補うので、体力回復にもつながるでしょう。
腎の機能を高めて、生命エネルギーを増やす作用です。活力不足、成長が遅い、生殖機能の低下、早期老化の兆候といった症状に。蓮の実は腎に働きかけて精を増やし、生命力を高めてくれます。「益する」は「増やす、高める」という意味で、腎の働きを活性化させるニュアンスがあるんです。成長期の子犬のサポートや、活力が落ちてきた愛犬の元気回復に適していますよ。
腎の不足を補い、生命力の源を強化する作用です。老化防止や骨の健康に関わります。足腰が弱い、排尿トラブル、耳が遠くなった、歯が弱い、毛艶が悪いといった症状に。蓮の実は腎を補うことで、骨や歯を強くし、生命力の根本から体を支えてくれます。「補う」は「不足を満たす」という意味で、衰えた腎の機能を回復させるニュアンスがあるんです。シニア犬の老化予防や、先天的に虚弱な体質の改善に心強い味方になってくれるでしょう。
心を養って潤し、精神を安定させる作用です。蓮の実の特徴的な効能です。不安、そわそわする、夜に吠える、落ち着きがない、興奮しやすいといった症状に。蓮の実は心に働きかけて、精神的な不安定さを和らげてくれます。ストレスを感じやすい愛犬、神経質な性格の子、環境の変化に敏感な子に適しています。心を養うことで、睡眠の質も向上し、全体的な落ち着きが生まれるんですね。精神と体の両方を整えてくれる、バランスの良い効能です。
薬膳とは別の角度から…
蓮の実はでんぷん質を主体とし、タンパク質、カルシウム、リン、鉄などのミネラル、ビタミンB群を含んでいます。エネルギー源となりながら、体の組織を作る栄養素もバランス良く含まれた、滋養価の高い食材です






