帰経
大腸
五性/五味
寒/甘
   白ゴマは愛犬の腸と肌を優しく潤す解毒食材

黒ゴマの影に隠れがちな白ゴマ。実は中医学薬膳の世界では、白ゴマと黒ゴマは全く異なる性質を持つ食材なんです。白ゴマは体を潤し、腸を整え、毒を排出し、肌を育てる。特に腸の健康と皮膚のトラブルに優れた力を発揮してくれる食材なんですね。

白ゴマは中医学で「寒性」に分類される種子で、体を冷ます性質を持っています。味わいは「甘味」で、大腸という臓器に働きかけるんです。

体を潤し、お通じをスムーズにし、毒を排出し、肌を育てる。この4つの効能が大腸を中心に働くというのが、白ゴマの大きな特徴。特に、便秘や皮膚トラブルを抱える愛犬にとって、頼もしい味方になってくれます。

黒ゴマが肝と腎を養うのに対し、白ゴマは大腸に特化して働く。この違いを理解することで、愛犬の体質に合わせた使い分けができるようになるんですね。

   帰経について

白ゴマは大腸に集中して働きかける食材なんです。

大腸は不要なものを排出し、水分を吸収する臓器です。大腸の働きが乱れると、便秘や下痢といったお通じのトラブルが起こります。また、中医学では「肺と大腸は表裏の関係」とされ、大腸のトラブルは皮膚にも影響を及ぼすんです。

白ゴマは大腸に直接働きかけて、その働きを整えてくれる。腸を潤し、スムーズな排便を促し、体の中の老廃物や毒素を排出する手助けをしてくれるんです。

便秘がちな愛犬、お腹の調子が気になる子、皮膚トラブルを抱える愛犬にとって、白ゴマは腸から体を整えてくれる食材といえるでしょう。

   五性について

白ゴマは「寒性」に属するんです。

寒性の食材は、体にこもった強い熱を冷ます働きがあります。これが黒ゴマ(平性)との大きな違いなんですね。

体に熱がこもると、便秘、口渇、皮膚の赤み、炎症、口臭といった症状が現れます。白ゴマの寒性は、こうした熱の症状を鎮めてくれる力を持っているんです。

ただし、寒性は体を冷やす力が強いので、冷え性の愛犬や、お腹が冷えやすい子、下痢をしやすい子には注意が必要。体が冷えているタイプには、黒ゴマの方が適しています。

愛犬の体質をよく観察して、熱っぽいタイプなら白ゴマ、冷えているタイプなら黒ゴマ、という使い分けが大切ですね。

   五味について

白ゴマは「甘味」を持つ食材なんです。

甘味は体を穏やかに補い、緊張を和らげる働きがあります。白ゴマの場合、寒性と組み合わさることで、体を冷ましながらも潤いを補うという、バランスの取れた働きをしてくれるんです。

甘味の食材は、愛犬にとって受け入れやすく、体に優しい味わい。白ゴマの香ばしさと甘味は、食欲を刺激してくれる効果もあります。

寒性でも甘味があるので、強く冷やしすぎず、穏やかに体を整えてくれる。これが白ゴマの使いやすさなんですね。

   効能について

腸を潤す
腸を潤して、スムーズな働きを助ける作用です。

腸が乾燥すると、便が硬くなり、排便が困難になります。特に、体に熱がこもっている愛犬や、水分不足の愛犬、シニア期で腸の動きが鈍くなってきた子に見られる症状です。

白ゴマは良質な油分を含んでいて、腸の内側を優しく潤してくれる。この潤いが便を柔らかくし、腸の動きをスムーズにしてくれるんです。

便が硬くてコロコロしている愛犬、いきんでも出にくそうな様子の子、体が熱っぽくて便秘がちな愛犬に、白ゴマは腸を潤して自然なお通じを促してくれるでしょう。

乾燥しやすい季節や、水分摂取が少ない愛犬にも、白ゴマのこの作用は腸の健康を守る手助けをしてくれます。

お通じをスムーズに
腸の働きを整えて、お通じをスムーズにする作用です。便秘は愛犬にとっても辛いもの。体の中に老廃物が溜まると、様々な不調の原因になります。

白ゴマは腸を潤しながら、穏やかにお通じを促してくれるんです。強制的に出すのではなく、腸の自然な働きをサポートする優しいアプローチ。

良質な油分と食物繊維が、腸の動きを助けて、便を柔らかくしてくれる。便秘が続くと、皮膚トラブルや食欲不振、口臭の原因にもなるので、日々のお通じを整えることは全身の健康維持にもつながるんです。

熱性の便秘(便が硬く、体が熱っぽい)に特に効果的。年齢とともに腸の動きが鈍くなってきた愛犬にも、白ゴマのこの作用は心強い味方になってくれますよ。

毒を排出する
体に入った毒素や、体内で発生した有害物質を和らげ、排出する働きです。現代でいうデトックスに近い概念ですね。

白ゴマの寒性は体の余分な熱毒を冷まし、通便作用が腸から老廃物を排出するのを助けます。腸をきれいに保つことで、体全体の毒素を減らすことができるんです。

皮膚トラブルが多い愛犬、体臭や口臭が強い子、便秘がちで体に熱がこもりやすい愛犬に、白ゴマは体の中をきれいに保つ手助けをしてくれます。

中医学では「腸がきれいなら皮膚もきれい」と考えます。白ゴマの解毒作用は、腸から体全体のバランスを整えてくれる働きなんです。

肌を育てる
新しい肌を育て、皮膚の再生を促す働きです。中医学では「大腸と肺は表裏の関係」とされ、大腸の健康が皮膚の健康に直結すると考えられているんです。

皮膚トラブルを抱える愛犬、被毛の艶がない子、皮膚が乾燥しやすい子、傷の治りが遅い愛犬。こうした症状は、大腸の働きが関係していることがあります。

白ゴマは大腸を潤し、毒を排出することで、皮膚の状態を内側から改善してくれる。腸がきれいになれば、皮膚も健やかになる。これが生肌の働きなんです。

皮膚の赤み、痒み、乾燥、湿疹といったトラブルを抱える愛犬に、白ゴマは腸を整えることで、皮膚を根本からケアしてくれるでしょう。

新しい健康な皮膚を育てる力をサポートする。これが白ゴマの大きな特徴といえますね。

   薬膳とは別の角度から…

薬膳の視点だけでなく、栄養学的にも白ゴマは優秀な食材なんです。

良質な脂質が豊富で、特に不飽和脂肪酸(リノール酸、オレイン酸など)が含まれています。皮膚や被毛の健康、細胞膜の材料として大切な栄養素です。

セサミンという抗酸化成分が含まれていて、細胞を酸化ストレスから守り、老化予防に期待できます。

カルシウムが豊富で、骨や歯の健康維持に役立ちます。白ゴマは黒ゴマよりもわずかにカルシウムが多いとされています。

マグネシウムも含まれていて、腸の動きを助ける働きがあります。便秘解消に役立つミネラルなんです。

ビタミンEが豊富で、強力な抗酸化作用があります。細胞の老化を防ぎ、皮膚や被毛の健康を守ってくれる栄養素です。

ビタミンB群も含まれていて、エネルギー代謝を助けてくれます。

食物繊維も豊富で、腸内環境を整え、お通じをサポートしてくれます。

亜鉛や鉄分などのミネラルも含まれていて、皮膚の健康や免疫機能を支えてくれるんです。

白ゴマと黒ゴマの栄養成分は似ていますが、外皮の色素成分が異なります。黒ゴマにはアントシアニンが含まれ、白ゴマは外皮が薄いため消化吸収がわずかに良いとされています。

白ゴマは、すりつぶして与えることで消化吸収率が上がります。そのまま与えると、殻が硬くて消化されずに出てしまうことがあるので、すりゴマやペースト状にすると良いでしょう。

中医学の効能と栄養学の知見、両方の視点から見ても、白ゴマは愛犬の腸と肌の健康を守る理想的な食材といえるでしょう。

特に、便秘がちな愛犬、体に熱がこもりやすい子、皮膚トラブルを抱える愛犬には、白ゴマの持つ潤し解毒する力が大きな助けになってくれます。ただし、寒性なので、冷え性の愛犬には黒ゴマを選ぶと良いですね。

愛犬の体質に合わせて、白ゴマと黒ゴマを使い分ける。これが薬膳の賢い取り入れ方なんです。

効能グループ

調理方法

1

そのままだと消化しずらいので、すり潰してあげて下さい。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
脂質
51.9g
カルシウム
1200m
9.6mg
ビタミンE
2.4mg
ビタミンB
0.95mg