帰経
心、脾、腎
五性/五味
平/甘、淡
   不安やストレスを和らげる「ハスの実」

今回ご紹介するのは「ハスの実」という、ちょっと珍しい食材。「え、ハス?あの池に咲く蓮の花の?」と思われる方も多いかもしれませんね。
実はこのハスの実、中医学の世界では数千年も前から「心を安らかにする」食材として重宝されてきました。現代を生きる愛犬たちにも、きっと役立つはずです。

ハスの実は、美しい蓮の花が咲いた後にできる種子のことです。日本では主に乾燥したものが中華食材店や健康食品店で手に入ります。
見た目は少し大きめの白いんげん豆のような感じで、ほのかな甘みがあるのが特徴。食感はホクホクとして、愛犬にも食べやすい食材なんです。

中医学では「蓮子(れんし)」と呼ばれ、特に精神的な安定と消化器系のサポートに優れた効果があるとされています。現代のストレス社会で暮らす愛犬たちにとって、まさに救世主のような存在かもしれません。

最近では、分離不安や雷恐怖症、環境の変化によるストレスを抱える愛犬が増えています。そんな時、薬に頼る前に試してみたい自然の恵み、それがハスの実なのです。

   帰経について

ハスの実は「心」「脾」「胃」に働きかけます。
心への働きかけ 中医学でいう「心」は、現代医学の心臓の働きだけでなく、精神活動や意識、感情をコントロールする中枢的な役割を担っています。つまり、愛犬の心の安定に直接アプローチしてくれるということ。

  脾への働き

脾は消化吸収と栄養の運搬を担当する重要な器官。ハスの実が脾に働きかけることで、愛犬の消化能力を高め、栄養をしっかりと体に取り込めるようサポートしてくれます。

  胃への働き

胃は食べ物を受け入れて消化の第一段階を行う場所。ストレスで食欲不振になりがちな愛犬の胃を優しく労わり、食欲を回復させる手助けをしてくれるんです。
これら三つの臓器への総合的なアプローチこそが、ハスの実の素晴らしさなのです。

   五性について

「五性」においては、ハスの実は「平性」の性質を持ちます。平性というのは、体を温めすぎず、冷やしすぎない、とてもバランスの取れた性質のこと。これは愛犬の体質や季節を問わず使いやすいということを意味しています。

暑がりな愛犬にも、寒がりな愛犬にも安心して与えられる。まさに万能食材と言えるでしょう。また、一年を通して継続的に与えることができるので、長期的な体質改善にも適しているんです。

   五味について

「五味」では「甘」と「渋」に分類されます。「甘」は脾胃を補い、体を滋養する作用があります。愛犬にとって心地よく、リラックス効果をもたらしてくれる味わいです。
この二つの味が組み合わさることで、愛犬の心身両方に優しく働きかけてくれるんですね。

   効能について

心を養い安らかにする
この効能こそが、ハスの実の最大の特徴です。心の働きを整えて、精神的な安定をもたらしてくれる作用のこと。
分離不安で落ち着かない愛犬、雷や花火の音に怯える愛犬、新しい環境になかなか慣れない愛犬。そんな子たちの心に、そっと寄り添うように働きかけてくれます。
薬のような即効性はありませんが、継続して与えることで、愛犬の心の土台を整え、ストレスに負けない強さを育ててくれるのです。

気になる腫れや炎症を和らげる
愛犬の体のどこかが腫れぼったく見える、なんとなく炎症を起こしているような部分がある、そんな時にも冬瓜の出番です。体内の水分代謝を改善することで、腫れや炎症の原因となる余分な水分や老廃物を排出しやすくしてくれます。もちろん、明らかに異常がある場合は獣医師さんに相談することが大切ですが、軽度の腫れや日常的なケアとして冬瓜を取り入れることで、自然な形で愛犬の体調をサポートできるでしょう。

腎の働きをサポートする
中医学でいう腎は、現代医学の腎臓だけでなく、生命力の源となるエネルギーの貯蔵庫のような存在です。
シニア犬の活力低下、若い犬でも疲れやすい子、毛艶が悪くなってきた愛犬などに、じわじわと効果を発揮してくれます。腎の働きが整うことで、全身の元気度がアップするんです。

腸の働きを引き締める
下痢しやすい愛犬、お腹が緩くなりがちな子に嬉しい効果。腸の働きを適度に引き締めて、正常な状態に戻してくれる作用があります。
ストレスでお腹を壊しやすい愛犬にとって、心のケアと腸のケアが同時にできるのは本当にありがたいことですね。

精を固める
生命エネルギーの無駄な消耗を防ぎ、体内に蓄えておく作用です。

出血を止める
軽い出血を止める作用があります。歯茎からの出血や、小さな怪我による出血などに対して、体の内側から回復をサポートしてくれる効果が期待できます。

   薬膳とは別の角度から…

良質な植物性タンパク質、ビタミンB群、カリウム、マグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。特に神経系の健康に必要なビタミンB1やB6が多く、薬膳効果を栄養学的にもサポートしているんです。

効能グループ

調理方法

1

一晩、たっぷりのお水につけます。

2

実の中に緑色の芽(蓮芯)がある場合、取り除きます。

3

新しいたっぷりのお水で、下茹でし、ゆで汁は茹でこぼします。

4

じゃがいものようにホクホクになるまで、コトコト煮ます。

ポイント

実の中の緑色の芽(蓮芯)は、苦いので丁寧に取り除きます。煮た後は、マッシュポテトのようにして、冷凍出来ます。
尿漏れなどにとても良いですよ

注意点

カリウム制限のある愛犬、高カリウム血症の愛犬は、控えるようにして下さい。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
カリウム
1300mg
炭水化物
64.3g
脂質
2.3g
マグネシウム
200mg
マンガン
7.54mg