帰経
肺、胃
五性/五味
涼/辛甘
   お腹を整える大根!

大根は私たちの食卓に馴染み深い野菜ですが、中医学薬膳の世界ではとても頼れる食材です。愛犬の体にこもった余分な熱をさまし、水分の巡りを整える働きが期待できるとされています。また、消化を助けて胃腸を軽くし、食べすぎやお腹の張りのケアにも役立つと言われています。みずみずしさと自然な甘みを持ち、体に負担をかけにくいのが魅力です。薬膳は特別な材料が必要と思われがちですが、大根のような身近な食材こそ、毎日のケアに寄り添ってくれる心強い存在です。

   帰経について

大根は肺と胃の2つに働きかけます。「肺」は呼吸や水分代謝、皮膚のバリア機能を司る臓器。「胃」は食べ物を受け入れて消化する臓器です。つまり、大根は愛犬の呼吸と消化という、生命維持に欠かせない2つの機能をサポートしてくれる食材なんですね。特に食べ物を下に降ろすという力に優れています。

   五性について

大根は「涼性」に分類されます。これは体を穏やかに冷ます性質で、寒性ほど強くないんです。体に熱がこもりやすい愛犬、消化器や呼吸器に炎症がある子に適しています。冷やす力が優しいので、夏場や、体質的に熱を持ちやすい愛犬に使いやすい食材。ただし、お腹が冷えやすい子や、寒い季節には様子を見ながら与えることが大切です。

   五味について

大根は「辛味」と「甘味」の両方を持つ食材。辛味には「発散させる」「気血を巡らせる」作用があり、甘味には「気を補う」「緊張を取り除く」「胃腸の働きを高める」作用があります。この2つの味の組み合わせが、大根の気の流れをスムーズにしながら、体を優しく整える力を生み出しているんですね。特に辛味は、詰まった気を動かす力が強いんです。

   効能について

気を下げる
上に昇りすぎた気を下に降ろして、バランスを取る作用です。大根の代表的な効能の一つです。ゲップが出る、しゃっくりが続く、お腹が張る、嘔吐、胃が苦しそうといった症状に。大根は逆上した気を下に降ろすことで、これらの不快な症状を和らげてくれます。特に食べ過ぎや消化不良で気が上がっている時に効果的。辛味の発散作用が、詰まった気をスムーズに動かしてくれるんです。お腹の張りが取れると、愛犬も楽になるでしょう。

湿気を除く
体内の余分な湿気を排出する作用です。消化器系の湿気に特に働きかけます。お腹が重い、軟便が続く、体がだるそう、食欲が落ちるといった症状に。大根は胃の働きを助けることで、体内に溜まった余分な湿気を取り除いてくれます。特に湿気が多い季節や、脂っこいものを食べた後の胃もたれに効果的。湿気が抜けると、消化機能も回復し、体が軽くなるんですね。梅雨時期の食欲不振にもおすすめですよ。

痰を取り除く
体の中に溜まった余分な水分や粘液を取り除く働きです。中医学でいう「痰」は、呼吸器の痰だけでなく、体の中に溜まった不要な湿り気全般を指します。
湿気が多い環境や、脾の働きが弱いと、体の中に痰が溜まりやすくなるんです。すると、浮腫んだり体が重だるくなったりします。
大根は、こうした余分な痰を流す手助けをしてくれます。梅雨時期にじめじめして体調を崩しやすい子にとって、ありがたい効能ですね。

胃腸の働きをととのえる
脾胃の働きを正常にし、穏やかにすることです。お腹がパンパンに張る、食後に苦しそう、膨満感がある、食欲がないといった症状に。大根は胃腸の緊張をほぐし、詰まりを解消してくれます。気を巡らせることで、お腹の中がスムーズに動くようになるんです。特にストレスや食べ過ぎでお腹が張っている時に効果的。お腹が楽になると、食欲も戻ってきますよ。

食べ物の消化を助ける
食べ物の消化を促進して、胃腸の負担を軽減する効能です。大根の最も知られた効能ですね。食後に胃が重い、消化が遅い、食べ過ぎて苦しそう、脂っこいものを食べた後といった症状に。大根は消化酵素を含み、食べ物の分解を助けてくれます。特に肉類や油っこい食事の後の消化促進に優れた効果を発揮。気を下ろす作用と合わせて、消化器全体の働きをスムーズにしてくれるんです。食欲旺盛で早食いしやすい愛犬にもおすすめですよ。

体に潤いを与える
体の潤いを生み出して、渇きや乾燥を改善する作用です。口が渇く、よく水を飲む、便が硬い、皮膚が乾燥するといった症状に。大根はみずみずしい野菜で、体に潤いを補給してくれます。涼性の性質と合わせて、熱による乾燥を改善する効果が高いんです。特に暑い季節や、体に熱がこもって渇きが強い時に適しています。潤いが戻ると、お通じも良くなるでしょう。

   薬膳とは別の角度から…

大根はビタミンCや消化酵素(ジアスターゼ、アミラーゼ)を含み、免疫力向上と消化促進に優れています。また、食物繊維も豊富で、腸内環境の改善に役立つ栄養価の高い野菜です。

効能グループ

調理方法

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細かく刻み煮るか蒸す。又は大根おろしで。

ポイント

生で与えるのはあまりおススメしていませんが、お腹が大丈夫なコは、大根おろしや大根おろしの汁を少量ご飯に混ぜるもの良いです。加熱する場合は柔らかく煮て、消化しやすくしてあげましょう。暑い時期には冷ます食材の大根を、寒い時期には、温める食材のカブをあげるもの良いですよ。(似たような効能を持っています)

大根は、上と下で働きが変わるのが面白いところです。
上の青首の部分は「肝臓のお手伝い役」。肝に熱がこもっていたり、肝機能が心配な子に向いています。
下の白い部分は「肺やのどを助ける役」。咳が出やすかったり、気管支の調子が良くないときに取り入れるといいですよ。

注意点

冷え体質の愛犬には、必ず加熱して与えることをおすすめします。温かい鶏肉スープで煮るなど、温性の食材と組み合わせるのも良い方法です。

大根は降ろす力が強いので、太らせたいコには、連日、大根は使わない方が良いです。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※だいこん 皮なし 生の場合
 
カロリー
15kcal
たんぱく質
0.4g
カリウム
230mg
ナトリウム
17mg
【参考文献】
・一般社団法人 日本中医食養学会(2019)『食症状の知恵 薬膳食典 食物性味表』株式会社 燎原書店発行.
・文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年”.
※その他、主な参考文献はこちら