帰経
肝、脾、腎
五性/五味
温/甘酸
   体を温めて気血を満たす「ぶり」

脂がのって美味しいぶり。体を温めながら、エネルギー(気)も血液も体の潤い(陰)も補ってくれる。そんな嬉しい働きをたくさん持っているのが、このぶりなんですよ。寒い時期に元気がない、食欲が落ちている、毛艶が悪い……そんな愛犬にこそ、ぶりを取り入れてほしいんです。
中医学の知恵を借りながら、愛犬の体質や体調に合わせて、上手に活用してみてくださいね。

   帰経について

ぶりは「肝」「脾」「腎」に働きかけます。
肝は、自律神経や感情のバランスを整える場所。ストレスを感じやすい愛犬や、イライラしがちな子に優しく働きかけます。
脾は、食べ物を消化してエネルギーを作り出す大事な場所。脾が元気だと、愛犬の体全体に活力が生まれます。
腎は、泌尿器系だけでなく、生命力の源とされる場所。老化防止や足腰の強化、毛艶の改善などに関わります。シニア犬には特に大切な臓器です。

つまり、ぶりは「メンタル」「消化」「老化防止」という3つの大切な部分に同時にアプローチしてくれる食材なんですね。

   五性について

ぶりは「温性」。体を穏やかに温めてくれる性質を持っています。
冷えは万病のもと。特に冬場や冷房の効いた室内で過ごす愛犬は、体が冷えやすくなります。体が冷えると、血の巡りが悪くなり、消化機能も落ちてしまうんです。
ぶりのような温性の食材を取り入れることで、愛犬の体を内側からじんわり温め、元気を取り戻すサポートができます。
ただし、もともと体に熱がこもりやすい体質の愛犬(目が充血しやすい、皮膚が赤いなど)には、与えすぎに注意が必要です。

   五味について

ぶりは「甘味」と「酸味」を持つ食材。
甘味は、体を補い、緊張を緩める働きがあります。エネルギーを補充し、気持ちを落ち着かせてくれるんです。消化機能にも優しく作用します。
酸味は、体の中のものを引き締め、漏れ出るのを防ぐ働きがあります。たとえば、下痢が続いているときや、おしっこが近い子には、酸味が助けになることも。
この2つの味が組み合わさることで、ぶりは「補いながら引き締める」というバランスの取れた働きをしてくれるんですよ。

   効能について

エネルギーをチャージ
体のエネルギーである「気」を補うこと。
気が不足すると、愛犬は疲れやすくなり、元気がなくなります。散歩に行きたがらない、すぐに寝てしまう、そんなときは気が足りないサインかもしれません。
ぶりは脾と胃に働きかけ、食べ物からしっかりエネルギーを作り出せるようサポートしてくれます。

血を増やす
血液を増やすこと。
血が不足すると、毛艶が悪くなったり、皮膚が乾燥したり、爪がもろくなったりします。貧血気味の愛犬にも、補血は大切です。
ぶりには、血を補う働きがあるため、美しい被毛や健康な皮膚を保つ助けになります。

体に潤いを与える
体の潤いを補うこと。
陰が不足すると、口や鼻が乾く、目が乾燥する、便が硬くなるといった症状が出ます。体の「水分」というより、「潤い」を補うイメージですね。
ぶりは、体の内側からしっとりと潤いを与えてくれるため、乾燥しやすい愛犬におすすめです。

消化機能を整える
脾の働きを元気にすること。
脾は、食べ物を消化してエネルギーや血を作り出す大切な場所。脾が弱ると、食欲不振、軟便、下痢といった症状が出やすくなります。
ぶりは脾を元気にする働きがあるため、胃腸が弱い愛犬にも優しく作用します。

   薬膳とは別の角度から…

ぶりは、DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸が豊富。これらは脳の健康や炎症を抑える働きがあり、シニア犬の認知機能サポートにも役立ちます。
また、良質なたんぱく質やビタミンB群、ビタミンD、鉄分なども含まれ、栄養価の高い食材です。

効能グループ

調理方法

1

煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

ぶりは、リンが少ないお魚で、腎臓の数値が気になる愛犬にも与えやすい食材です。

注意点

ぶりは脂がのった魚。肥満気味の愛犬や、脂質に敏感な犬には量を控えめに。

天然のぶりは、養殖のぶりより油が少なく、与えやすいです。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※ぶり 生の場合
 
カロリー
222kcal
たんぱく質
21.4g
コレステロール
72mg
カリウム
380mg
ナトリウム
32mg
リン
130mg