帰経
肝、大腸、小腸、胃
五性/五味
涼/甘
   ほうれん草で愛犬の血を養い、体を潤す緑の薬膳野菜

ほうれん草は、中医学薬膳の世界で「血を養う野菜の代表」として知られる食材です。血が不足すると、毛艶が悪くなる、皮膚が乾燥する、貧血気味になる、といった症状が現れますが、ほうれん草はこうした血の不足を補ってくれるんですね。肝、大腸、小腸、胃という4つの臓器に働きかけ、消化器系全体と肝の機能を整えます。体を穏やかに冷まし、イライラを鎮める働きもあるので、興奮しやすい愛犬にもおすすめ。乾燥を潤し、便通を良くする効能もあり、特に秋冬の乾燥する季節や、便秘がちな愛犬に役立ちます。性質が「涼」で甘味があり、体に優しく作用する野菜。少量を茹でてアクを抜き、食事に加えることで、愛犬の健康を内側からサポートしてくれる頼もしい薬膳食材です。

   帰経について

ほうれん草が働きかける臓器は、肝、大腸、小腸、胃です。肝は血を蓄え、気の流れを調整します。大腸と小腸は消化吸収と排泄を担い、胃は食べ物を受け入れて消化する場所。ほうれん草はこれら4つの臓器に届いて、血を養いながら、消化器系全体の働きを整えてくれるんですね。

   五性について

ほうれん草の性質は「涼」です。涼というのは、体を穏やかに冷ます働きがあるということ。熱がこもりやすい愛犬や、イライラしやすい子、暑い季節に特におすすめです。冷やす力は穏やかなので、極端に体を冷やしすぎる心配は少なく、バランスよく使える性質といえます。

   五味について

ほうれん草の味は「甘」に分類されます。甘味は中医学では体を補う、つまり栄養を与えて滋養する働きがあるとされています。ほうれん草の甘味は、愛犬の体に必要な栄養を届け、特に血を養う作用。やさしく体を満たしてくれるんですね。

   効能について

血を養って全身に栄養を届ける働き
中医学でいう血は、単に血液だけを指すのではなく、全身に栄養を運び、潤いを与える大切な物質です。ほうれん草のこの作用は、この血を増やして質を高める働き。血が不足すると、毛艶が悪くなる、皮膚が乾燥する、爪が割れやすくなる、顔色が悪くなる、といった症状が現れます。特に出産後のメス犬、高齢犬、病後の回復期にある愛犬は、血が不足しがち。ほうれん草を取り入れることで血が充実し、体の隅々まで栄養が行き渡るようになります。その結果、毛並みがツヤツヤになったり、皮膚の状態が良くなったり、全体的に健康的な見た目に変わっていくんですよ。血は体を滋養する基本ですから、しっかり補うことが大切。ほうれん草の緑の濃い色は、血を養う力の証なんです。

肝の働きを整えて気の巡りを良くする働き
中医学では、肝は血を蓄え、気の流れをコントロールする臓器とされています。ほうれん草の平肝作用は、肝の働きを整え、気の流れをスムーズにする効果。ストレスや緊張があると、肝の気が上に昇りすぎて、イライラ、興奮、落ち着きのなさといった症状が現れます。ほうれん草はこの上がりすぎた気を落ち着かせ、肝の機能を平らかに整えてくれるんです。愛犬が些細なことで吠える、興奮しやすい、落ち着きがない、といった様子が見られるとき、ほうれん草の平肝作用が役立ちます。血を養いながら肝を整えることで、精神的な安定ももたらしてくれます。環境の変化や不安を感じやすい愛犬にもおすすめですよ。

体の余分な熱を冷まして涼やかにする働き
体にこもった余分な熱を冷まし、取り除く働きのこと。体に熱がこもると、喉が渇く、呼吸が荒い、皮膚が赤くなる、落ち着きがなくなる、といった症状が現れます。ほうれん草のこの作用は、こうした熱を穏やかに冷ましてくれるんです。特に暑い季節や、興奮して体が熱くなったとき、皮膚に炎症があるときに効果的。性質が「涼」なので、体を冷やしすぎることなく、ちょうど良いバランスで熱を調整してくれます。体質的に熱がこもりやすい愛犬、皮膚炎を繰り返す子には、日常的に少量取り入れることで、体の熱を適度に保つことができます。体が涼やかになると、愛犬も快適に過ごせるようになるんですね。

イライラや不安を鎮めて心を落ち着かせる働き
イライラ、不安、落ち着きのなさといった、心の乱れを指します。ほうれん草のこの作用は、こうした心の熱を冷まし、精神を落ち着かせる働き。愛犬が落ち着きがない、些細なことで吠える、そわそわしている、といった様子が見られるときに役立ちます。肝に働きかけて気の流れを整え、血を養うことで、心の平穏を取り戻すサポートをしてくれるんです。ストレスを感じやすい愛犬や、興奮しやすい性格の子にもおすすめ。ほうれん草の穏やかな性質が、愛犬の心をやさしく包んで、リラックスさせてくれます。心が落ち着くと、睡眠の質も良くなり、日々の暮らしも穏やかになっていきますよ。

乾燥を潤して体に潤いを与える働き
体の乾燥を潤す働きのこと。秋冬の乾燥する季節や、体内の水分が不足すると、皮膚が乾燥する、鼻が乾く、空咳が出る、といった症状が現れます。ほうれん草のこの作用は、体に潤いを補給し、乾燥から守ってくれるんです。特に肺と大腸に働きかけて、呼吸器系と消化器系の両方を潤します。乾燥肌の愛犬、鼻が乾きやすい子、空気の乾燥で咳が出る子には、ほうれん草が役立ちます。水分と栄養をたっぷり含んだほうれん草は、体を内側から潤して、健やかな状態を保ってくれます。潤いが戻ると、皮膚の状態も良くなり、毛艶も改善していくんですよ。

腸を潤して便通をスムーズにする働き
便の排出を促して、お通じを良くする働きのこと。便秘は愛犬にとってもつらいもの。お腹が張る、食欲が落ちる、元気がなくなる、といった症状につながります。ほうれん草のこの作用は、腸に潤いを与えて、便の滑りを良くしてくれるんです。大腸に働きかけて、自然な形で排便を促すので、体に優しいアプローチ。食物繊維も豊富なほうれん草は、腸内の便を押し出す効果もあります。便秘がちな愛犬に、茹でたほうれん草を少量取り入れることで、お腹のリズムが整っていきます。お腹がすっきりすると、食欲も戻り、全体的な調子も良くなっていくんですよ。ただし、シュウ酸が多いので、必ず茹でてアクを抜いてから与えることが大切です

   薬膳とは別の角度から…

ほうれん草は鉄分、βカロテン、ビタミンC、葉酸が豊富な野菜です。貧血予防、免疫力向上、抗酸化作用が期待できます。ただしシュウ酸を含むため、必ず茹でてアクを抜いてから与えることが重要。適量を守れば、栄養価の高い優れた食材です。

効能グループ

調理方法

1

煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

シュウ酸を多く含むので、必ず、下茹でして茹で汁は捨てて下さい。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※ほうれんそう 葉 通年平均 生
カロリー
18kcal
β|カロテン
4200μg
カリウム
690mg
リン
47mg
葉酸
210μg
【参考文献】
・一般社団法人 日本中医食養学会(2019)『食症状の知恵 薬膳食典 食物性味表』株式会社 燎原書店発行.
・文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年”.
※その他、主な参考文献はこちら
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