帰経
脾、胃、大腸
五性/五味
寒/甘
   消化トラブルに!胃腸を優しくサポート

蕎麦は、中医学薬膳の世界では古くから薬用食材として重宝されてきた優秀な穀物なんです。特に消化を助ける働きや、体の毒素を排出する効果で知られています。
ただし、蕎麦は「寒性」という体を冷やす性質を持つため、与え方には少し注意が必要。愛犬の体質や季節を考慮して、上手に活用することが大切です。

   帰経について

蕎麦は「脾」「胃」「大腸」の3つの臓器系統に働きかけるとされています。

  脾への働き

消化吸収の中心的な役割を担う臓器とされています。現代医学の脾臓とは違い、胃腸全体の消化機能を司る概念です。食べ物からエネルギーを取り出し、全身に送り届ける大切な働きをしています。

  胃への働き

胃は、食べ物を受け入れて最初の消化を行う場所。愛犬の食欲や、食べ物への反応と密接に関わっています。胃の働きが悪いと、食欲不振や消化不良を起こしやすくなります。

  大腸への働き

大腸は、消化の最終段階を担う臓器。水分の吸収や、不要な物質の排出を行います。便通や腸内環境と深く関係しています。

つまり蕎麦は、愛犬の消化器系全体、特に「食べる→消化する→吸収する→排出する」という一連の流れをトータルでサポートしてくれる食材なのです。
消化不良気味の愛犬や、お腹の調子が不安定な子には特におすすめしたい帰経パターンですね。

   五性について

蕎麦は、「寒性」に属します。これは体の熱を冷まし、のぼせやほてりを鎮める作用があることを意味しています。
寒性食材の特徴として…
・体の余分な熱を取り除く
・炎症を鎮める効果がある
・興奮状態を落ち着かせる
・暑さによる不調を改善する
愛犬への影響として考えると、夏バテで食欲が落ちている時や、体が火照って落ち着かない状態の改善に役立ちます。また、慢性的な胃炎など「熱」が関わる消化器トラブルにも効果が期待できます。

ただし注意点もあります。寒性の食材は、冷え性の愛犬や寒い季節には体を冷やしすぎる可能性が。下痢気味の子や、普段から元気がない愛犬には慎重に与える必要があります。与える時は温めて調理したり、体を温める食材と組み合わせたりすることで、寒性の影響を和らげることができますよ。

   五味について

蕎麦は、「甘味」に分類されます。
中医学でいう甘味は、単純に甜い味という意味ではありません。「体を補う」「気力を回復する」「穏やかに作用する」という薬膳効果を表しています。
甘味食材の主な働き…
・体力や気力を補充する
・胃腸の働きを助ける
・緊張をほぐし、リラックス効果をもたらす
・急激な変化ではなく、穏やかに体に作用する
・筋肉や血液の材料となる
愛犬にとっては、疲れた時の体力回復や、ストレスで食欲が落ちている時の胃腸サポートに最適な味覚特性なんです。
甘味の食材は基本的に安全で、体への負担も少ないのが特徴。
蕎麦の場合、自然な甘味が愛犬の食欲を刺激し、同時に消化器系を穏やかにサポートしてくれるというわけです。

   効能について

気の巡りを整えてすっきり
体の中で滞っている「気」の流れを下向きに整える効果です。愛犬がなんとなく調子が悪い、お腹が張って苦しそう、そんな時に蕎麦の下気作用が役立ちます。ガスが溜まりやすい子や、食後にお腹が膨らんで辛そうな愛犬に特におすすめです。

消化の要を健やかに
脾の働きを健康にする効果で、消化吸収能力全体を底上げしてくれます。食べても太らない、下痢や軟便が続く、毛艶が悪いといった症状は、脾の働きが弱っているサインかもしれません。蕎麦の健脾効果で、愛犬の基礎的な消化力をサポートできます。

食べ物の消化をスムーズに
食べたものをしっかり消化する力を高める効果です。食べ過ぎた後や、いつもより食欲旺盛な時期に与えると、胃もたれや消化不良を防ぐことができます。シニア犬で消化能力が落ちてきた愛犬にも嬉しい働きですね。

腸をゆるめて快適に
腸の筋肉が過度に緊張してしまった状態を和らげ、本来の自然な食べた食べ物を動かし、消化・吸収を助ける働きのことです。これにより、無理のない自然な便通が回復し、愛犬のお腹の不快感も和らぎます。
緊張した腸は、便を正常に運ぶことができません。その結果、便秘になったり、逆に急にゆるくなったりと、不安定な状態が続きます。また、腸の緊張は腹痛の原因にもなり、愛犬を苦しめることも。腸の筋肉の過度な緊張をほぐし、自然でリズミカルな働きを促してくれるのです。

体の毒素をきれいに
体内に蓄積された有害物質や老廃物を排出する効果です。現代の愛犬は、添加物や環境汚染物質にさらされることも多いもの。蕎麦の解毒作用で、体内をきれいにデトックスできます。皮膚トラブルや慢性的な体調不良の改善にも期待できます。

異常な分泌をストップ
体から出る異常な分泌物を止める効果です。愛犬の場合、目やにが多い、耳垢が異常に出る、皮膚から分泌物が出るといった症状に対応できます。特にアレルギー体質で分泌物系のトラブルが多い子には注目したい効能です。

   薬膳とは別の角度から…

蕎麦には愛犬の健康に嬉しい栄養素がたっぷり。特に注目したいのがルチンという成分です。ルチンは毛細血管を強化し、血流を改善する効果が期待できます。また、必須アミノ酸のバランスが良く、良質なタンパク質源としても優秀です。ビタミンB群も豊富で、特にビタミンB1は糖質の代謝を助け、愛犬の疲労回復をサポートします。食物繊維も含まれているため、便通の改善にも役立ちます。

効能グループ

調理方法

1

茹でて食べやすい大きさに細かく切る。

ポイント

蕎麦を愛犬に与える際の最大の注意点は、アレルギーです。人間と同様、犬にも蕎麦アレルギーが存在します。初回は必ず少量から始めて、皮膚の赤みや痒み、消化器症状などが出ないかチェックしましょう。

主な栄養素(分量 100 g あたり)※全層粉

成分名
カロリー
361kcal
タンパク質
12g
脂質
3.1g
炭水化物
69.6g
カリウム
410mg
ビタミンB1
0.46mg