効能グループ

うるち米(白米・はくまい)

帰経
脾、胃、肺
五性/五味
平/甘
   実は最強の薬膳食材!「うるち米」で愛犬の胃腸を優しくサポート

私たちが毎日食べているお米(うるちまい、白米の事です)も、立派な薬膳食材の一つです。うるち米は中医学薬膳において、体を根本から元気にする力を持っています。特に胃腸が弱い愛犬、食欲にムラがある子、下痢をしやすい愛犬には、まさに救世主的な存在といえるでしょう。

うるち米は中医学薬膳において「平性で甘味の補益食材」として分類されています。これは「体に負担をかけずに、穏やかに栄養を補給してくれる食材」という意味なんです。
最大の特徴は「脾胃を補う力」。脾胃とは消化器系のことで、食べ物を消化・吸収して体に必要なエネルギーに変える重要な働きを担っています。うるち米はこの脾胃の機能を高めることで、愛犬の基礎体力や免疫力の向上をサポートしてくれるんです。

また、うるち米の素晴らしいところは「どんな体質の愛犬にも合いやすい」という点です。熱がこもりやすい子にも、冷えやすい子にも、どちらにも適応できる優れた特性を持っています。だからこそ、薬膳初心者の飼い主さんには特におすすめの食材なんですよ。
さらに、消化がよく胃腸への負担が少ないので、病後の回復期や高齢犬、子犬にも安心して与えることができます。

   帰経について

中医学の「帰経」において、うるち米は「脾」「胃」「肺」の3つの臓器系統に働きかけるとされています。この組み合わせが、うるち米の万能性の秘密です。

  脾への働き

脾は消化・吸収を司り、食べ物から栄養やエネルギーを作り出す重要な臓器です。うるち米は脾の機能を高めることで、食べたものを効率よく体のエネルギーに変換できるよう助けてくれます。食欲不振の愛犬や、食べても太らない子、疲れやすい愛犬には特に効果的です。

  胃への働き

胃は食べ物を受け入れ、消化の第一段階を担います。うるち米の胃への作用により、胃の働きが調和し、消化不良や胃もたれの改善が期待できます。早食いする愛犬や、フードを変えるとお腹を壊しやすい子にもおすすめなんです。

  肺への働き

意外かもしれませんが、うるち米は肺にも良い影響を与えます。中医学では肺は呼吸だけでなく、皮膚や被毛の健康にも関わるとされています。うるち米の肺への作用により、被毛の艶や皮膚の状態改善も期待できるんですよ。

   五性について

薬膳の「五性」において、うるち米は「平性」に分類されます。これは「体を温めすぎず、冷やしすぎない中庸な性質」を意味しており、まさにうるち米の最大の魅力といえるでしょう。
平性の食材は、どんな体質の愛犬にも適応しやすく、季節を問わず年中与えることができます。暑がりの愛犬にも寒がりの愛犬にも、どちらにも安心して与えられるんです。
これは薬膳初心者の飼い主さんには本当にありがたい特性です。「うちの子の体質がよく分からない」「薬膳を始めたいけど、食材選びが難しそう」という方でも、うるち米なら失敗の心配がほとんどありません。
また、平性の食材は他の食材との相性も良いので、野菜や肉類と組み合わせて薬膳レシピを作る時のベース食材としても最適です。

   五味について

うるち米の味は「甘味」に分類されます。薬膳における甘味は、私たちが想像する砂糖のような甘さとは少し違い、「穏やかで滋養のある味」を指しています。
甘味は中医学において「補益作用」の代表格です。体に栄養を補給し、エネルギーを蓄える働きがあります。また、緊張を和らげ、心を落ち着かせる効果もあるんです。
愛犬にとって甘味の効果は特に重要で、成長期の子犬には成長に必要なエネルギーを、高齢犬には衰えた体力の回復を、病後の愛犬には失われた体力の補充をサポートしてくれます。
また、甘味は脾胃(消化器系)を特に補強する作用があるため、消化不良や食欲不振の改善にも効果的です。ストレスで食欲がない愛犬にも、うるち米の優しい甘味が食欲回復の手助けをしてくれるでしょう。

   効能について

体の中心を補う
体の中心部、つまり消化器系を中心としたエネルギー生産システムを補強する働きのことです。うるち米のこの効能が、愛犬の根本的な体力向上をサポートします。
疲れやすい愛犬、元気がない子、病後で体力が落ちている愛犬などに、うるち米の補中効果が体の芯から元気を取り戻す手助けをしてくれます。即効性はありませんが、継続することで確実に体質改善が期待できる効能です。

気を補う
生命エネルギーである「気」を増やし、補充する働きです。気は体を動かすエネルギーの源で、これが不足すると様々な不調が現れます。
息切れしやすい愛犬、散歩を嫌がるようになった子、何となく元気がない愛犬などに、うるち米の益気効果が生命力の回復をサポートします。特に高齢犬には、加齢とともに減少する気を補う重要な効能といえるでしょう。

脾を健やかにする
脾の機能を高め、健康な状態に導く働きです。脾は消化・吸収・代謝の中心的役割を担っているため、ここが弱ると全身に影響が出てしまいます。
食べても太らない愛犬、下痢をしやすい子、食事に興味を示さない愛犬などに、うるち米の健脾効果が消化器系の根本的な改善をもたらしてくれます。

胃を和らげる
胃の働きを調和させ、穏やかで安定した状態に導く効能です。胃が興奮しすぎても、働きが鈍すぎても消化に支障が出るため、バランスを取ることが重要なんです。
胃もたれを起こしやすい愛犬、早食いで消化不良を起こす子、ストレスで胃の調子を崩しやすい愛犬などに、うるち米の和胃効果が胃の働きを正常化してくれます。

下痢を止める
下痢を改善し、正常な便通に戻す働きです。これは単に下痢を止めるだけでなく、下痢の原因となる消化器系の不調を根本から改善する効能です。
慢性的な軟便に悩む愛犬、ストレス性の下痢を起こしやすい子、消化器系が敏感な愛犬などに、うるち米の止瀉効果が腸内環境の正常化をサポートします。ただし、感染症による下痢の場合は、必ず獣医師の診察を受けることが大切です。

   玄米について

玄米は、白米より栄養が豊富で、食物繊維やビタミン、ミネラルがたくさん含まれていますが、玄米は消化に時間がかかるため、胃腸が弱っている場合には、胃腸の負担になります。せっかくの栄養も吸収しにくくなってしまいます。玄米は、消化出来る形(細かくすり潰す等)にするとか、脾胃の負担にならないよう気をつけて下さい。

   主な栄養成分

炭水化物:良質なエネルギー源として最適
タンパク質:必須アミノ酸をバランスよく含有
ビタミンB群:代謝機能の向上をサポート
ミネラル:マグネシウム、リンなど骨や歯の健康に必要
食物繊維:腸内環境の改善に貢献

効能グループ

調理方法

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通常通り、炊飯器で炊いたものを使うか、または、おじややお粥を炊く要領で利用する。お水を多めにすると、水分が取れて良いです。

ポイント

うるち米は「平」の性質を持つため、どんな食材とも相性が良いのが特徴です。体を温める食材と組み合わせれば冷え性の愛犬に、体を冷ます食材と組み合わせれば暑がりの愛犬に、それぞれ適した食事を作ることができます。おかゆにすると特に脾胃の働きを補いやすく、食欲不振や回復期の栄養補給に適しています。
例えば、消化不良気味の愛犬には、うるち米と消化を助ける大根を組み合わせたり、元気がない愛犬には、うるち米と体を温める鶏肉を合わせたりすると効果的です

注意点

消化力が弱いコは、水分を多めに加えて柔らかく炊いたり、おかゆ状にして消化しやすくすると良いです。愛犬の体重や活動量、他の食事とのバランスを考慮して調整してください。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
カロリー
342 (kcal)
たんぱく質
6.1g
脂質
0.9g
炭水化物
77.6g
ビタミンB1
0.08mg