帰経
肺、大腸、膀胱
五性/五味
涼/甘、淡
   夏の救世主「冬瓜」で愛犬の体をスッキリ!水分代謝UPの薬膳術

特に暑い季節や、むくみがち、おしっこの調子が今ひとつ…という愛犬には、冬瓜の薬膳効果がとても役立ちます。名前に「冬」とついているので冬の野菜かと思いがちですが、実は夏が旬の頼もしい味方です。

冬瓜は中医学薬膳において「体の余分な水分を調整し、熱を冷ます優秀な食材」として位置づけられています。見た目は地味ですが、その効果は本当に素晴らしいんですよ。最大の特徴は「利水作用」。これは体内の水分バランスを整える働きのことで、むくみの解消やおしっこの出を良くする効果が期待できます。また、体にこもった余分な熱を取り除く力もあるので、暑がりの愛犬や熱っぽい症状がある時にもぴったりです。
さらに、胃腸に優しく消化しやすいのも嬉しいポイント。食欲がない時や、お腹の調子が優れない愛犬にも安心して与えることができます。95%以上が水分でカロリーも低いので、ダイエット中の愛犬にも適しているんです。

特に現代の愛犬たちは、エアコンの効いた室内と暑い屋外を行き来することで、体温調節に負担がかかりやすい環境にあります。そんな愛犬の体調管理に、冬瓜の持つ自然の力が大きな助けとなるのです。

   帰経について

中医学の「帰経」では、冬瓜は「肺」「大腸」「膀胱」の3つの臓器系統に働きかけるとされています。この組み合わせが、冬瓜の優れた効果の秘密なんです。

  肺への働き

肺は呼吸だけでなく、体の水分代謝にも深く関わっています。冬瓜は肺の機能をサポートすることで、体全体の水分バランスを整えます。咳が出やすい愛犬や、呼吸が浅い子にも優しく作用してくれるんです。

  大腸への働き

大腸は排便に関わる臓器ですが、水分の吸収や排出にも重要な役割を果たしています。冬瓜は大腸の働きを助けることで、便通を改善し、体内の老廃物排出をスムーズにします。

  膀胱への働き

膀胱は尿の貯蔵と排出を司る臓器です。冬瓜の膀胱への作用により、おしっこの出が良くなり、体内の余分な水分や毒素の排出が促進されます。これがむくみ解消につながるんですね。

   五性について

薬膳の「五性」において、冬瓜は「涼性」に分類されます。これは体を穏やかに冷やし、余分な熱を取り除く性質があることを意味しています。
涼性の食材は、体が熱っぽい時や興奮している時、炎症がある時などに特に効果的です。愛犬が暑がっている時、パンティング(ハアハア呼吸)が激しい時、体温が少し高めの時などに、冬瓜の涼性が優しく体をクールダウンしてくれます。
ただし、普段から体が冷えやすい愛犬や、寒い季節には与えすぎに注意が必要です。特に高齢犬や体力が落ちている愛犬には、様子を見ながら適量を心がけましょう。

   五味について

冬瓜の味は「甘淡」に分類されます。「甘」は甘味、「淡」は淡白な味を指しており、この組み合わせが冬瓜独特の優しい薬膳効果を生み出しています。
甘味の効果:
甘味には体にエネルギーを補給し、緊張を和らげる働きがあります。また、脾胃(消化器系)の働きを助ける作用もあるので、食欲不振の愛犬や胃腸が弱い子には特におすすめです。
淡味の効果:
淡味は利水作用に優れており、体内の水分代謝を促進します。余分な水分を排出し、必要な水分は保持するという、まさに理想的な働きをしてくれるんです。また、淡白な味は胃腸への負担も少なく、消化しやすいのも特徴です。

   効能について

体の熱を冷ます
体にこもった余分な熱を取り除く働きのことです。冬瓜は特に、のぼせや軽い発熱、炎症による熱感などを和らげる効果があります。
愛犬が暑い日にぐったりしている時、体が熱っぽい時、口の中が赤くなっている時などに、冬瓜の清熱効果が優しく体をクールダウンしてくれます。エアコンに頼らない自然な暑さ対策としても活用できますよ。

水分代謝を良くする
体内の水分循環を改善し、余分な水分を排出する働きです。これが冬瓜の最も代表的な効能といえるでしょう。
むくみやすい愛犬、おしっこの回数が少ない子、水分を摂っても体に溜まってしまう子などに、冬瓜の利水効果が体内の水分バランスを整えてくれます。ただし、脱水気味の愛犬には逆効果になることもあるので注意が必要です。

むくみを取る
むくみや腫れを解消する効果のことです。冬瓜の利水作用と清熱作用が組み合わさることで、効果的にむくみを改善します。
足がパンパンにむくんでいる愛犬、顔がむくんで目が小さく見える子、お腹が張っている愛犬などに、冬瓜の消腫効果が優しく作用します。ただし、病気が原因のむくみの場合は、必ず獣医師に相談することが大切です。

毒素を排出する
体内に蓄積された有害物質や老廃物を排出する働きです。冬瓜は肝臓の解毒機能をサポートし、体内のお掃除を助けてくれます。
普段からあまり運動しない愛犬、高齢で代謝が落ちている子、食事の偏りが気になる愛犬などに、冬瓜の解毒効果が体内のリセットをサポートしてくれます。

体液を補う
体に必要な体液や水分を補充する働きのことです。単純な水分補給ではなく、体が本当に必要とする質の良い水分を供給してくれるんです。
口や鼻が乾燥している愛犬、被毛がパサついている子、皮膚の乾燥が気になる愛犬などに、冬瓜の精津効果が内側から潤いを与えてくれます。

イライラを鎮める
心の熱を取り除き、イライラや不安を和らげる効果のことです。体の熱が心にも影響を与えるという中医学の考え方に基づいています。
暑い日に興奮しやすい愛犬、ストレスで落ち着きがない子、夜鳴きをする愛犬などに、冬瓜の除煩効果が心の平静を取り戻すお手伝いをしてくれるかもしれません。

   沖縄料理では…

沖縄料理で、「冬瓜(シブイ)ンブシー」という料理がありますが、豚肉、豆腐を、味噌で煮込んだ料理です。(※ンブシーとは、煮込み料理のイメージです。)冬瓜、豚肉、豆腐は、体の熱を冷まし潤いを届ける食材です。暑い時期の長い沖縄で、体の熱を冷まし、暑さで乾いた体に潤いを届けてくれる料理ですね。冬瓜、豚肉、豆腐は、わんこさんにも使える食材なので、夏のご飯に最適な食材です。

   冬瓜は、すべての部位に効能があります。

【皮の効能】
中医学では、冬瓜の皮にはとくべつな力があると考えられて、皮もとっても大事です。
生薬として使われる場合、「冬瓜皮(とうがひ)」と呼ばれ、冬瓜の実より強力な利尿作用があります。
【種の効能】
中医学では、冬瓜のたねも体によい働きをする生薬として大事にされています。
生薬として使われる場合、「冬瓜子(とうがし)」と呼ばれ、肺を潤して、痰を取り除きます。

   薬膳とは別の角度から…

沖縄では、冬瓜の事を「シブイ」と言ったりします。
収穫時期は、4~9月が旬の時期の夏野菜です。

   主な栄養成分

水分:約96%で優れた水分補給効果
食物繊維:腸内環境の改善に貢献
カリウム:余分なナトリウムの排出をサポート
ビタミンC:抗酸化作用で免疫力アップ
カルシウム:骨や歯の健康維持に必要

効能グループ

調理方法

1

実、皮ワタに分けます。

2

実は、食べやすい大きさ(消化出来る大きさ)に切ります。

3

皮とワタは、お茶パック等に入れます。(後で取り出します。)

4

実と、皮とワタを入れたパックを一緒に茹でます。(灰汁は取り除いて下さい)

5

茹でた後、皮とワタのパックは取り除きます。(皮とワタは食べません)

ポイント

皮とワタは食べませんが、一緒に煮る事で、効能を得る事が出来ます。煮汁を、ご飯にかけてあげたり、おじや系のご飯にする際に、利用すると良いです。余った煮汁は、冷凍して使えます。

注意点

利水作用が強いため、水分不足のコや、体を冷やしてはいけないコは、控えめに。
体質や季節、愛犬の状態に合わせて調整することが大切です。
むくみが改善されたら量を減らすなど、愛犬の様子を見ながら与えてくださいね。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
カロリー
15 (kcal)
カリウム
200mg
カルシウム
19mg
マグネシウム
7mg
葉酸
7μg
ビタミンC
39mg