帰経
心、脾、胃
五性/五味
寒/苦
   愛犬の夏を支える緑の宝物!

人間の夏バテ対策として有名な苦瓜ですが、中医学では古くから「暑気を払う薬」として重宝されてきました。
最近、愛犬が夏になると元気がなくなったり、食欲が落ちたりしていませんか?それ、もしかすると体に熱がこもっているサインかもしれません。苦瓜は、そんな愛犬の体を内側から冷やし、元気を取り戻すお手伝いをしてくれるんです。

苦瓜は、中医学薬膳では「体の熱を取り除く涼性の食材」として分類されます。特に夏場に体内にこもった熱を冷まし、心を落ち着かせる効果があるとされています。
独特の苦味には実は深い意味があって、この苦味が体の余分な熱や毒素を排出してくれるんです。愛犬にとっても、適量であれば夏バテ防止や食欲増進に役立つ優秀な食材と言えるでしょう。
ただし、体を冷やす性質があるため、冷え性の愛犬や寒い季節には控えめにするなど、愛犬の体質や季節を考慮して使うことが大切です。

   帰経について

苦瓜は、「心」「脾」「胃」という三つの重要な臓器に働きかけます。
心への作用では、興奮やイライラを鎮めてくれます。夏の暑さでハアハアと息が荒くなったり、落ち着きがなくなったりする愛犬におすすめです。心の熱を冷ますことで、精神的な安定をもたらしてくれるんです。
脾(消化器系)への作用では、食欲不振の改善が期待できます。暑さで食が細くなった愛犬の消化機能をサポートし、栄養の吸収を助けてくれるでしょう。
胃への作用では、胃の働きを整えて食欲を回復させます。胃もたれや消化不良気味の愛犬にも優しく働きかけてくれるんですよ。

   五性について

苦瓜は「寒」に分類されます。
「寒」の食材は、体の中にこもった余分な熱を取り除く働きがあります。特に夏場に体温調節が上手くいかない愛犬や、常に体が熱っぽい愛犬には最適です。
ただし、「寒」の性質が強いため、普段から体が冷えやすい愛犬や、下痢をしやすい愛犬には注意が必要。そんな場合は、温める性質のある食材(生姜など)と組み合わせて使うといいでしょう。
季節で言えば、まさに夏が苦瓜の出番。愛犬の体質と季節を考えながら、上手に活用していきたいですね。

   五味について

苦瓜は名前の通り「苦」味。
「苦」味には、体内の余分な水分や熱を排出する働きがあります。つまり、体に溜まった不要なものを外に出してくれるデトックス効果があるんです。
また、苦味は心臓の働きを整え、気持ちを落ち着かせる作用もあります。暑さでソワソワしがちな愛犬の心を静めて、リラックスさせてくれるでしょう。
人間でも「良薬口に苦し」と言いますが、この苦味こそが苦瓜の薬効の源なんですね。愛犬には少量ずつ、様子を見ながら与えることで、その恩恵を受けることができます。

   効能について

 ◾暑さから愛犬を守る
夏の厳しい暑さは、愛犬にとって大きなストレス。体温調節が苦手な犬種や高齢犬は特に注意が必要です。苦瓜の解暑作用は、体内の熱を自然に冷ましてくれます。
散歩から帰ってハアハア息が荒い時、普段より体が熱く感じる時などに、少量の苦瓜を取り入れることで、愛犬の体を内側からクールダウンできるんです。

心を穏やかに
暑さによるイライラや興奮状態を和らげる効果があります。夏場に普段より吠えやすくなったり、落ち着きがなくなったりする愛犬におすすめ。
心の熱を取り除くことで、愛犬本来の穏やかな性格を取り戻すお手伝いをしてくれるでしょう。特に神経質な愛犬や、ストレスを感じやすい愛犬には頼もしい味方です。

目の健康をサポート
中医学では、肝と目は密接な関係があると考えられています。苦瓜の明目作用は、目の充血や炎症を和らげ、クリアな視界を保つのに役立ちます。
目やにが多い愛犬や、白内障などの心配がある高齢犬にも優しく作用してくれるんです。ただし、目の病気が疑われる場合は、必ず獣医師の診察を受けてくださいね。

デトックス効果
体内に溜まった老廃物や毒素を排出する働きがあります。普段から添加物の多いフードを食べている愛犬や、都市部で生活している愛犬の体内浄化にも期待できます。
定期的に取り入れることで、愛犬の体を内側からきれいにし、免疫力の向上にもつながるでしょう。

腫れや炎症を抑える
皮膚の炎症や腫れを和らげる効果があります。夏場に多い皮膚トラブルや、軽度の炎症に対して、体の内側からアプローチできるんです。
ただし、重篤な皮膚疾患の場合は、苦瓜だけに頼らず、必ず専門医の治療を受けることが大切です。

胃腸を整える
食欲不振や消化不良を改善し、胃腸の働きを正常に戻してくれます。夏バテで食が細くなった愛犬や、胃腸が弱い愛犬の消化機能をサポート。
適量を継続的に与えることで、愛犬の食欲が戻り、栄養の吸収も良くなることが期待できます。

   薬膳とは別の角度から…

ビタミンCを多く含むお野菜で、普通は熱に弱いビタミンCですが、苦瓜のビタミンCは、熱に強いのが特徴的なお野菜です。炒めたり煮たりしても、ある程度、ビタミンCがしっかり残ります。

ビタミンCは、体の中で発生する「サビ」を防ぐ力があり、体の「サビ止め」になります。

   体の「サビ」って?

「呼吸」や「ストレス」「紫外線」などで、活性酸素(かっせいさんそ)という悪い物質が体の中にたまってきます。これが細胞をキズつけたり、老化を早めたり、病気のもとになると言われています。
まるで鉄がサビてボロボロになるようなイメージです。

ビタミンCにはこの活性酸素をおさえて、体を守る働き=抗酸化作用があります。

   つまり、ビタミンCは…
  老化を防ぐ
  肌をきれいに保つ
  病気になりにくい体をつくる
  がん・生活習慣病の予防にもつながる

といった働きがあるんです。

効能グループ

調理方法

1

スプーン等でワタを取り、消化しやすい大きさに細かく切る

2

灰汁を取りながら、煮る

3

又は、蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

普段から暑がりで、夏になると元気がなくなりがちな愛犬には積極的に、反対に寒がりで冷え性気味の愛犬には慎重に与えることが大切です。「寒」の性質が強いため、冷え性の愛犬や体調不良の時、また寒い季節には控えめにするか、体を温める食材と組み合わせることをお勧めします。また、妊娠中の愛犬には与えない方が安全です。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
カロリー
15 (kcal)
脂質
0.1g
ナトリウム
1 mg
カリウム
260 mg
炭水化物
3.9 g
タンパク質
1 g