帰経
脾、胃、腎
五性/五味
涼/甘、鹹
   古代から人々に愛されてきたあわの薬膳パワー

あわは、イネ科の一年草で、日本では縄文時代から栽培されてきた古い穀物です。見た目は小さな黄色い粒で、炊き上がると少しプチプチとした食感が楽しめます。
現代ではあまり馴染みがないかもしれませんが、実は栄養価が非常に高く、アレルギーを起こしにくいグルテンフリーの穀物として注目を集めているんです。

中医学では、特に消化器系の働きを整えて、体の熱を穏やかに取り除く優秀な食材として位置づけられています。
お腹の調子を崩しやすい愛犬、食欲にムラがある愛犬、そして年齢を重ねて腎機能が気になるシニア犬にとって、まさに理想的な主食の一つと言えるでしょう。
最近では、ペット用の雑穀ミックスにも含まれることが多く、健康志向の飼い主さんたちの間で密かに人気を集めています。

   帰経について

あわは「脾」「胃」「腎」に働きかけます。

  脾への働き

中医学でいう脾は、消化吸収と栄養の運搬を担当する重要な臓器。あわが脾に働きかけることで、愛犬の消化能力を高め、栄養をしっかりと体の隅々まで届けてくれるのです。
食べたものをエネルギーに変える力、これを中医学では「運化(うんか)」と呼びますが、あわはまさにこの運化の力を強化してくれる食材なんですね。

  胃への働き

胃は食べ物を受け入れて、消化の第一段階を行う場所。ストレスや不規則な食事で胃の働きが弱った愛犬に、あわは優しく作用してくれます。
胃もたれしやすい愛犬、食欲にムラがある愛犬にとって、あわは消化しやすく、胃に負担をかけない理想的な炭水化物源と言えるでしょう。

  腎への働き

腎は生命力の源となるエネルギーの貯蔵庫のような存在。あわが腎に働きかけることで、愛犬の根本的な体力や免疫力の維持をサポートしてくれます。
特にシニア犬にとって、腎機能のサポートは非常に重要。あわの優しい作用が、長期的な健康維持に役立つのです。

   五性について

あわは「涼性」に分類されます。
涼性とは、体を穏やかに冷やす性質のこと。暑がりな愛犬や、体に熱がこもりやすい体質の愛犬にとって、とても使いやすい食材です。
ただし「冷やす」といっても、氷のように急激に体温を下げるわけではありません。むしろ、体内の余分な熱を穏やかに取り除いて、バランスの取れた状態に導いてくれる、とても優しい作用なんです。
夏バテで食欲が落ちがちな愛犬、皮膚炎で体に熱がこもっている愛犬、そしてストレスで体がほてりがちな愛犬にも、あわの涼性は心地よく作用してくれるでしょう。

   五味について

あわは、甘味と鹹味を併せ持つ特徴があります。
甘味の作用 甘味は脾胃を補い、体を滋養する作用があります。愛犬にとって心地よく、エネルギーを補給してくれる優しい味わいです。
鹹味の作用 鹹味は腎に作用して、体の深い部分を潤す働きがあります。また、硬くなったものを柔らかくする作用もあり、便秘がちな愛犬にも嬉しい効果が期待できます。

   効能について

消化の力を高める
胃腸の機能を高めて、消化吸収能力を向上させる作用のことです。食べたものをしっかりと栄養に変えて、体の隅々まで届ける力を強化してくれます。
食べているのに痩せてしまう愛犬、軟便になりがちな愛犬、疲れやすい愛犬などに、じわじわと効果を発揮してくれるでしょう。薬のような即効性はありませんが、継続して与えることで、愛犬の基礎体力が向上していくのを実感できるはずです。

胃の調子を整える
胃の働きを穏やかに調整して、正常な状態に戻してくれる作用です。胃もたれや食欲不振、逆に食べ過ぎてしまう愛犬にも、バランスの取れた状態へと導いてくれます。
ストレスで胃の調子を崩しやすい愛犬、季節の変わり目に食欲が落ちる愛犬にとって、あわは優しい味方になってくれるでしょう。消化しやすいので、胃腸が弱った時の回復食としても最適です。

腎機能をサポートする
腎臓の働きを助けて、生命力の根源となるエネルギーを補充してくれる作用です。シニア犬にとって特に重要な効能と言えるでしょう。
腎機能が低下すると、おしっこの回数が増えたり、逆に出にくくなったり、毛艶が悪くなったりします。あわの益腎作用は、こうした症状の予防や改善に、ゆっくりと働きかけてくれるのです。

体の余分な熱を取る
体にこもった不要な熱を穏やかに取り除く作用です。炎症や発熱、皮膚の赤みなどを和らげる効果が期待できます。
夏の暑さでぐったりしている愛犬、アレルギーで皮膚が赤くなっている愛犬、ストレスで体がほてっている愛犬などに、涼性の性質と相まって優しく作用してくれるでしょう。

毒素を排出する
体内に蓄積された不要な物質を排出しやすくする作用です。現代の愛犬たちは、意外と多くの化学物質に囲まれて生活しています。
フードの添加物、シャンプーの化学成分、大気汚染物質など。あわの解毒作用は、こうした現代特有のストレスから愛犬の体を守る手助けをしてくれるのです。

   薬膳とは別の角度から…

栄養価について あわは良質な植物性タンパク質、ビタミンB群、鉄分、マグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。特に鉄分の含有量は白米の約4倍もあり、貧血気味の愛犬にも嬉しい栄養源です。
また、必須アミノ酸のバランスも良く、愛犬の筋肉維持や被毛の健康にも貢献してくれます。グルテンフリーなので、小麦アレルギーの愛犬でも安心して与えることができるのも大きなメリットです。

効能グループ

調理方法

1

お米1合に対して、大匙1杯(目安)のあわを入れて一緒に炊いて下さい。

ポイント

購入する時は、粒が揃っていて、変色や虫食いのないものを選びましょう。有機栽培のものを選ぶと、より安心して愛犬に与えることができます。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※精白粒の場合
 
カロリー
346kcal
炭水化物
69.7g
脂質
4.4g
4.8mg
カリウム
300mg