冬の万能薬「大根」
スーパーで一年中手に入る大根ですが、実は愛犬の咳や消化不良、むくみまで幅広くサポートしてくれる優秀な薬膳食材なんです。
中医学では大根を「冬の万能薬」として、昔から重宝してきました。特に肺(呼吸器系)と胃(消化器系)に働きかけて、愛犬の体調を優しく整えてくれます。しかも生でも加熱しても使える便利さですね。
大根は中医学では「涼性」に分類される食材です。体にこもった余分な熱を優しく冷まし、バランスを整えてくれるんですね。特に冬場の暖房で体が火照りがちな愛犬や、もともと体に熱がこもりやすい体質の子にぴったり。
味の特徴は「辛味」と「甘味」の両方を持っています。この組み合わせがポイントで、辛味で体の気の流れを良くし、甘味で消化を助けてくれる。一石二鳥の働きなんです。
効能は、主に消化器系と呼吸器系のトラブルをサポートしてくれる力があります。特に「食べ過ぎてお腹が張っている」「咳が出る」といった症状に効果的。寒い時期に甘みが増して、薬膳的な効果も高まります。
帰経について
大根は「肺」「胃」に働きかけます。
肺への働き
肺は、呼吸器系全般を指します。鼻、喉、気管、肺などを含み、呼吸だけでなく皮膚や被毛の健康、免疫機能も司っているんです。咳が出る、鼻水が出る、皮膚が乾燥する、といった症状がある愛犬には、肺のケアが大切。
大根は肺を潤し、痰を出しやすくして、呼吸を楽にしてくれます。冬の乾燥で咳き込みがちな愛犬や、アレルギー体質の子にもおすすめです。
胃への働き
胃は、消化器系の中心。食べ物を消化し、栄養を吸収する大切な場所です。食欲不振、胃もたれ、お腹の張り、吐き気などの症状がある時は、胃の働きが弱っているサイン。
大根は胃の働きを活発にして、消化を助けてくれます。食べ過ぎた後や、脂っこいものを食べた後のケアに最適なんですね。
五性について
大根は「涼性」に分類されます。
これは、体を穏やかに冷ましてくれる性質があるということ。寒性ほど強くないので、使いやすいのが特徴です。
体に熱がこもっている愛犬(よく舌を出してハァハァしている、目が赤い、興奮しやすい、便秘気味など)には特に向いています。また、炎症を抑える働きもあるので、皮膚トラブルがある時にもおすすめ。
ただし注意したいのは、もともと冷え体質の愛犬(お腹が冷たい、下痢しやすい、寒がりなど)には与えすぎない方が良いということ。少量を加熱して与えるなど、工夫が必要です。
五味について
大根は「辛味」と「甘味」の両方を持っています。
辛味は「気」を巡らせる働きがあります。体の中の滞りを解消し、スムーズに流れるようにしてくれるんですね。食後のお腹の張りや、痰の詰まり、便秘などに効果的。また、発汗を促して体の表面の邪気を追い出す力もあります。
生の大根の方が辛味成分が強く、すりおろすことでさらに効果が高まります。ただし、辛すぎると刺激が強いので、愛犬には少量ずつ与えるのがポイント。
甘味は消化器系の働きを助けます。胃腸を元気にして、体にエネルギーを補給。緊張をほぐし、痛みを和らげる作用もあるんです。
加熱すると甘味が増すので、胃腸が弱い愛犬には煮た大根がおすすめ。辛味も和らいで、より優しく働きかけてくれます。
効能について
食べ物の消化を助ける効果のこと。大根には消化酵素が豊富に含まれていて、特にデンプンやタンパク質の分解をサポートしてくれます。
食べ過ぎてお腹が張っている時や、いつもより消化に時間がかかっている様子の時に効果的。胃の中に食べ物が長く停滞すると、ガスが発生したり、食欲が落ちたりしますよね。大根はそんな状態をスッキリ解消してくれるんです。
特に高齢犬や、消化機能が弱い愛犬には心強い味方。普段の食事に少量加えるだけで、消化の負担を軽くしてあげられます。
体の中に溜まった余分な水分や粘液を取り除く働きです。中医学でいう「痰」は、呼吸器の痰だけでなく、体の中に溜まった不要な湿り気全般を指します。
湿気が多い環境や、脾の働きが弱いと、体の中に痰が溜まりやすくなるんです。すると、浮腫んだり体が重だるくなったりします。
大根は、こうした余分な痰を流す手助けをしてくれます。呼吸器が弱めの愛犬や、梅雨時期にじめじめして体調を崩しやすい子にとって、ありがたい効能ですね。
上に逆流してしまった「気」を下に降ろす働きのこと。ちょっと分かりにくいですが、げっぷや吐き気、咳、喘息のような症状がこれに当たります。
本来、気は全身をスムーズに巡るべきなのに、何らかの原因で上に上がってしまう。これが咳や吐き気につながるんですね。
大根の辛味成分が、この逆流した気を下に降ろして、正常な流れに戻してくれます。咳き込みが激しい時や、食後にげっぷが多い愛犬におすすめです。
お腹の詰まりや張りを緩めて、楽にする効果のこと。
食べ過ぎや消化不良で、お腹がパンパンに張っている。触るとグルグル音がする。そんな時に大根が活躍します。気の流れを良くして、溜まったガスを排出しやすくしてくれるんです。
お腹が張ると愛犬も不快で、元気がなくなりますよね。大根を加えた食事で、その不快感を和らげてあげられます。
体の中の水分を増やし、潤いを与える効果です。
冬の暖房や乾燥で、愛犬の体も意外と水分不足になっています。口や鼻が乾く、便が硬い、皮膚がカサカサする、といった症状は潤い不足のサインかもしれません。
大根は水分を豊富に含んでいるだけでなく、体の内側から潤いを生み出す力もあるんです。
体に溜まった余分な水分や湿気を排出する効果。むくみや軟便、体が重だるそうにしている時に効果的です。
梅雨時や台風の時期など、湿度が高い季節は愛犬の体にも湿気が溜まりやすくなります。これが様々な不調の原因になるんですね。
大根は利尿作用があり、余分な水分をおしっことして出してくれます。湿気による食欲不振や、体のだるさにも効果が期待できます。
薬膳とは別の角度から…
大根にはビタミンCが豊富で、免疫力アップや老化防止に役立ちます。また、消化酵素のジアスターゼやアミラーゼが豊富で、これが消化をサポート。食物繊維も含まれていて、腸内環境を整えてくれます。
特に大根の葉は栄養価が高く、カルシウム、鉄分、ビタミンAなどが豊富。捨てずに活用したい部分です。











