帰経
肝、胃
五性/五味
涼/甘
   熱と巡りをやさしく整える へちまの薬膳力

へちまは、ウリ科の野菜で、沖縄や九州などでは食用として古くから親しまれてきました。中医学薬膳の視点から見ると、体の熱を冷まし、痰を取り除き、呼吸器系を整える優れた働きを持つ食材なんですね。肝と胃に働きかけ、消化機能を高めながら、気の巡りも良くしてくれます。特に暑い季節や、咳や痰が気になるとき、呼吸が苦しそうなときに役立ちます。性質が「涼」で体を穏やかに冷まし、甘味があって食べやすいのが特徴。水分が豊富で低カロリー、消化にも優しい野菜です。柔らかく煮込んでスープにしたり、細かく刻んで食事に混ぜたり。全国的には馴染みが薄いかもしれませんが、夏の薬膳食材として、愛犬の健康をサポートしてくれる頼もしい野菜なんです。

   帰経について

へちまが働きかける臓器は、肝と胃です。肝は血を蓄え、気の流れを調整し、ストレスとも深く関わります。胃は食べ物を受け入れて消化する大切な場所。へちまはこの2つの臓器に届いて、肝の機能を整えながら、胃の働きも高めてくれるんですね。

   五性について

へちまの性質は「涼」です。涼というのは、体を穏やかに冷ます働きがあるということ。暑い季節や、体に熱がこもりやすい愛犬に特におすすめです。冷やす力は穏やかなので、極端に体を冷やしすぎる心配は少なく、夏の薬膳として安心して使える性質といえます。

   五味について

へちまの味は「甘」に分類されます。甘味は中医学では体を補う、つまり栄養を与えて滋養する働きがあるとされています。へちまの甘味は穏やかで、体をやさしく整えながら、必要な栄養を届けてくれる作用なんですね。

   効能について

体の余分な熱を冷ます
体にこもった余分な熱を冷まし、取り除く働きのこと。体に熱がこもると、喉が渇く、呼吸が荒い、皮膚が赤くなる、落ち着きがなくなる、といった症状が現れます。へちまのこの作用は、こうした熱を穏やかに冷ましてくれるんです。特に夏の暑さで体が熱くなったとき、熱中症の予防、皮膚に炎症があるときに効果的。性質が「涼」で水分も豊富なので、体を内側から冷やして涼やかに保ってくれます。体質的に熱がこもりやすい愛犬、興奮しやすい子、暑がりな子には、夏場にへちまを取り入れることで、快適に過ごせるようになります。体が涼やかになると、食欲も戻り、元気も回復するんですね。

痰を取り除く
“体の中に溜まった余分な水分や粘液を取り除く働きです。中医学でいう「痰」は、呼吸器の痰だけでなく、体の中に溜まった不要な湿り気全般を指します。
湿気が多い環境や、脾の働きが弱いと、体の中に痰が溜まりやすくなるんです。すると、浮腫んだり体が重だるくなったりします。
人参は、こうした余分な痰を流す手助けをしてくれます。梅雨時期にじめじめして体調を崩しやすい子にとって、ありがたい効能ですね。”

咳を止める
文字通り咳を止める働きのこと。へちまのこの作用は、咳の原因となる熱や痰を取り除くことで、咳を鎮めてくれます。乾いた咳、痰が絡む咳、どちらにも効果的。体の熱を冷まし、痰を溶かし、呼吸器を潤すことで、咳の症状が改善されるんです。特に暑さや乾燥による咳、慢性的な咳が続くときに、へちまが役立ちます。ただし、咳が長引く場合や、呼吸困難を伴う場合は、必ず獣医師に相談してください。重大な病気のサインかもしれません。軽度の咳であれば、へちまの優しい作用が、愛犬の呼吸を楽にしてくれますよ。

喘息を鎮める
喘息や呼吸困難といった症状を平らかに和らげる働き。へちまのこの作用は、気管や肺の緊張を緩め、呼吸をスムーズにする効果があります。呼吸が苦しそう、ゼーゼーという音がする、運動後に呼吸が荒い、といった症状に対応します。痰を取り除き、熱を冷まし、気の流れを整えることで、呼吸器系全体の働きが改善されるんです。ただし、重度の呼吸困難や喘息発作は緊急事態です。へちまはあくまで軽度の症状や予防的なケアに活用し、深刻な症状では必ず獣医師の治療を受けてください。日常的なケアとして、呼吸器が弱い愛犬にへちまを取り入れることで、呼吸が楽になることもあります。

血の流れを整え、気の流れを調整し、停滞を解く
経絡(体内のエネルギーの通り道)の流れを活発にし、滞りを解消する働き。中医学では、気や血は経絡を通って全身を巡ると考えます。経絡が詰まると、痛みやしびれ、動きの制限が起こるんです。へちまのこの作用は、この経絡の通りを良くして、気血の巡りをスムーズにする効果。関節の痛み、筋肉のこわばり、動きが鈍いといった症状に役立ちます。特に高齢犬や、関節炎を持つ愛犬には、血の巡りを改善することで、動きがスムーズになることもあります。へちまを継続的に取り入れることで、体全体の巡りが良くなり、軽やかに動けるようになるんですね。

母乳を出しやすくする
母乳の出を良くする働きのこと。これは出産後のメス犬に限定される効能です。へちまのこの作用は、乳腺の詰まりを解消し、母乳の分泌を促進する効果があります。出産後、母乳の出が悪い、乳腺が張って痛そう、といったときに、へちまが役立つことがあるんです。経絡の通りを良くする作用と組み合わさって、乳腺の気血の流れを改善します。ただし、出産後の栄養管理は非常に重要で、獣医師の指導のもとで行うべきです。へちまはあくまで補助的な食材として考え、基本的な栄養バランスを整えた上で取り入れましょう。授乳期以外の愛犬には、この効能は関係ありませんが、他の効能は十分に活用できます。

   薬膳とは別の角度から…

へちまは約95パーセントが水分で、非常に低カロリーな野菜です。ビタミンCやカリウム、食物繊維を含み、水分補給と栄養補給を同時に行えます。消化しやすく、胃腸に優しい食材として、夏の暑い時期の水分・栄養補給に適しています。

効能グループ

調理方法

1

煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
へちま 果実 生
カロリー
17kcal
ナトリウム
1mg
カリウム
150mg
リン
25mg
カルシウム
12mg
【参考文献】
・一般社団法人 日本中医食養学会(2019)『食症状の知恵 薬膳食典 食物性味表』株式会社 燎原書店発行.
・文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年”.
※その他、主な参考文献はこちら
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