帰経
脾、肝、腎、心
五性/五味
温/甘、鹹
   身近な鰯が愛犬の万能薬!?

鰯(いわし)は、小さな体にたっぷり栄養をつめこんだ海の恵みです。
昔から「いわしを食べると頭がよくなる」と言われてきましたが、中医学の世界でも「脳や心を整え、気血を補う」力を持つ食材として重宝されてきました。
さらに鰯は消化にやさしく、愛犬の体をじんわり温めながら、筋肉や骨までサポートしてくれる万能な魚。高齢犬にも育ち盛りのわんこにも役立つ、頼もしい味方なのです。

中医学では昔から「薬食同源」という考え方があります。「薬(薬物)と食(食べ物)は同じ源から生まれたもの」 という考え方が、薬食同源です。つまり、毎日の食事こそが最高の薬になるという考え方。
鰯はまさにその代表格で、愛犬の脾(消化器系)、腎(泌尿器・生殖器系)、心(循環器・精神系)、そして肝(解毒・血液系)の4つの重要な臓器に働きかけてくれる、まさに万能食材なんです。

鰯は中医学では「温性」の食材に分類され、体を内側から温めてくれる性質があります。現代の愛犬たちは冷房の効いた室内で過ごすことが多く、意外と体が冷えがち。そんな時に鰯を取り入れることで、自然な体温調節をサポートできるんです。

   帰経について

鰯は「脾」「腎」「心」「肝」に働きかけます。

  脾への働き

消化器系全般を指します。胃腸の働きを活発にして、食べたものをしっかりとエネルギーに変える力をサポートします。食欲不振や軟便気味の愛犬には特におすすめ。

  腎への働き

泌尿器系だけでなく、生命力の源とされる場所。老化防止や足腰の強化、毛艶の改善などに関わります。シニア犬には特に大切な臓器です。

  心への働き

血液循環と精神的な安定を司ります。興奮しやすい愛犬や、ストレスを感じやすい子にとって重要な臓器。

  肝への働き

解毒作用と血液の質を管理します。イライラしやすい愛犬や、アレルギー体質の子のサポートに。

鰯はただ栄養を与えるだけでなく、体と心の両面に届く食材だとわかります。

   五性について

鰯は「温性」に分類されます。
これは、体を適度に温めてくれる性質があるということ。冷房で冷えた体や、寒い季節、また生まれつき冷え体質の愛犬にぴったりです。
ただし注意が必要なのは、もともと体に熱がこもりがちな愛犬(よく舌を出してハァハァしている、目が赤い、興奮しやすいなど)には、与えすぎない方が良いということ。バランスが大切なんです。

   五味について

鰯は、甘鹹の味に分類されます。
甘味は脾(消化器系)の働きを助けます。消化を促進し、エネルギーを作り出す力をサポート。愛犬が元気に過ごすための基本的なエネルギー源となります。
鹹味は腎(泌尿器・生殖器系)に働きかけます。水分代謝を整え、老化を防ぐ働きがあります。また、固いものを柔らかくする性質もあるので、筋肉や関節の柔軟性維持にも役立ちます。

   効能について

元気な毎日の基盤を作る
脾の働きを健康にするという意味です。愛犬の消化機能を向上させ、食べたものをしっかりと栄養に変えてくれます。食欲がない時や、お腹の調子が不安定な時に特に効果的。毎日の食事から必要なエネルギーを効率よく吸収できるようになります。

生命エネルギーをチャージ
「気」は生命エネルギーのこと。この大切なエネルギーを補充してくれる効果です。疲れやすい愛犬や、病気の回復期、シニア犬の活力アップに最適。散歩の後の疲労回復も早くなります。

賢い愛犬をサポート
脳の健康を保つ効果です。記憶力や学習能力の維持、認知症の予防にも期待できます。しつけを覚える若い犬から、脳の老化が心配なシニア犬まで、全年齢でメリットがあります。

美しい毛艶と健康な血液
血液を補う効果で、毛艶が良くなったり、貧血の予防ができます。特に女の子の愛犬や、毛色が薄くなってきたシニア犬におすすめ。内側から美しさをサポートしてくれます。

心の安定をもたらす
精神的な安定をもたらす効果です。雷や花火を怖がる愛犬、分離不安のある子、興奮しやすい性格の子に優しく働きかけます。リラックスして過ごせるようになります。

クリアな瞳を保つ
目の健康を保つ効果です。白内障の予防や、ドライアイの改善、涙やけの軽減にも期待できます。澄んだ美しい瞳を維持してくれます。

血行を良くする
血液の循環を良くして、体の隅々まで栄養を届けます。冷え性の改善や、皮膚病の予防、傷の治りを早くする効果も。元気で活発な毎日をサポートします。

丈夫な骨と筋肉作り
筋肉と骨を強くする効果です。成長期の子犬の発育促進から、シニア犬の筋力維持まで幅広くサポート。関節の健康維持にも役立ちます。

   薬膳とは別の角度から…

鰯はEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富です。これらは炎症を抑え、脳の健康や皮膚・被毛の美しさを保つのに重要な栄養素。また、良質なタンパク質やカルシウム、ビタミンDも含まれていて、愛犬の成長と健康維持に欠かせません。

効能グループ

調理方法

1

頭と内臓を取り除きます(うろこもあれば取り除きます)

2

骨ごと圧力鍋で煮て、骨が柔らかくなるまで煮ます。

3

※下処理されている鰯の場合、骨を気をつけて(綺麗に取り除く)、煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

小骨が多いので、ミキサーでペーストしてつみれ等にするのも良いです。

注意点

皮膚の状態が悪い場合(お腹の湿疹等のカイカイ等)は、控えて下さい。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※まいわし(生)の場合
 
カロリー
156kcal
たんぱく質
19.2
カリウム
270mg
ナトリウム
81mg