「脾・胃」を優しく温める「かぼちゃ」
かぼちゃは、スーパーでも手に入りやすく、愛犬も喜んで食べてくれる人気の食材ですよね。実は中医学薬膳の世界では、かぼちゃは「脾と胃を温めて、体の中心からエネルギーを補う」力を持つ、とても優秀な食材なんです。
甘くてホクホクとした食感は、消化吸収を担う脾胃にも優しく働きかけます。特に胃腸が弱い子や、寒い季節に元気がなくなりがちな愛犬にとって、かぼちゃは心強い味方。さらに、秋から冬にかけての乾燥対策にも役立つという、嬉しい効能もあるんですよ。
帰経について
かぼちゃは「脾」「胃」に働きかけます。
中医学でいう「脾」は、食べ物を消化してエネルギーに変える役割を持っています。また「胃」は食べ物を受け入れて、消化の第一段階を担う場所。つまりかぼちゃは、愛犬の消化器系全体に優しく作用して、栄養をしっかり吸収できる体づくりをサポートしてくれるんですね。
食欲がない、軟便が続く、元気がないといった症状は、脾胃の働きが弱っているサインかもしれません。そんなときこそ、かぼちゃの出番です。
五性について
かぼちゃは「温性」。
温性の食材は、体の中からじんわりと温めて、冷えからくる不調を改善してくれます。愛犬の体が冷えていると、消化機能が落ちたり、免疫力が低下したりすることも。特に冬場や、もともと冷え体質の子には、温性のかぼちゃがぴったりなんです。
ただし、体に熱がこもりやすい子(よく水を飲む、舌が赤い、興奮しやすいなど)には、与えすぎに注意が必要。
五味について
かぼちゃは「甘味」を持つ食材。
甘中医学での甘味は、単に甘いだけではなく、「補う・緩める・調和させる」働きを持つとされています。体にエネルギーを補給し、緊張を和らげ、他の食材との調和も促してくれる。まさに優しい味わいそのままの働きですね。
甘味の食材は脾胃を元気にする力が強いので、消化吸収が弱っている愛犬や、体力が落ちている子に特におすすめ。かぼちゃの自然な甘さが、愛犬の体を内側から支えてくれます。
効能について
体の中心部、脾胃を補うことと、気(エネルギー)を増やすことを意味します。
愛犬の元気がない、疲れやすい、食欲がムラがあるといった症状は、気が不足している「気虚(ききょ)」の状態かもしれません。かぼちゃは脾胃の働きを高めることで、食べ物からしっかりエネルギーを作り出せる体にしてくれるんです。
特に病後や高齢犬、胃腸が弱い子には、この働きがとても頼りになります。無理なく自然に、体の土台を整えてくれる食材なんですね。
肺を潤すことと、喘息のような呼吸のトラブルを和らげることです。
秋から冬にかけては空気が乾燥して、愛犬も咳が出やすくなったり、呼吸が荒くなったりすることがあります。中医学では「肺は乾燥を嫌う」とされており、潤いが必要なんです。
かぼちゃは体を温めながらも、肺に潤いを与えてくれる優れもの。乾いた咳や、ちょっとした息苦しさを感じている愛犬に、優しく寄り添ってくれます。
体に溜まった不要なものや毒素を排出する働きです。
中医学では、食べ物の消化不良や体内の湿気が溜まることで、「湿熱(しつねつ)」という状態が生まれ、皮膚トラブルや体調不良の原因になると考えます。かぼちゃには、こうした余分なものを優しく排出する力があるんです。
皮膚の赤みや痒み、目やにが出やすい愛犬には、デトックス効果も期待できますよ。
便通を良くする働きのこと。
かぼちゃには食物繊維が豊富で、腸内環境を整えながら、自然なお通じをサポートしてくれます。特に脾胃が弱って便秘気味の子や、高齢でお腹の動きが鈍くなってきた子に優しく作用します。
ただし、もともと軟便や下痢気味の子には、与える量に注意が必要ですね。
薬膳とは別の角度から…
かぼちゃは中医学的な効能だけでなく、栄養面でも優秀です。ベータカロテンが豊富で、体内でビタミンAに変わり、目や皮膚、粘膜の健康を守ってくれます。ビタミンC、ビタミンE、カリウムも含まれており、免疫力アップや抗酸化作用も期待できるんです。










