帰経
心、肺、脾、胃
五性/五味
蓮根(生):寒/甘 蓮根(加熱):平/甘
   蓮根は調理法で性質が変わる不思議な薬膳食材

蓮根は、穴が開いた独特の形から「先を見通す食材」として親しまれてきました。中医学薬膳の視点では、心や肺、脾、胃といった広い範囲に働きかける、バランスの良い食材と考えられています。特徴的なのは、生で食べるか、加熱するかによって性質と役割が変わる点です。生の蓮根は、体にこもった熱を冷まし、潤いを与える方向に働きます。一方で、加熱した蓮根は、消化を助け、体の中心を支える性質に変わります。同じ食材でも、状態によって役割が変わる。これは中医学薬膳らしい考え方です。愛犬の体調や様子を見ながら、蓮根をどう捉えるか。その視点を持つことで、食事がより優しいケアになります。

   帰経について

蓮根は心、肺、脾、胃の4つに働きかけます。「心」は精神活動や血液循環を司る臓器。「肺」は呼吸や水分代謝、皮膚のバリア機能を担当します。「脾」は消化吸収を管理し、「胃」は食べ物を受け入れて消化する臓器。つまり、蓮根は愛犬の精神、呼吸、消化という重要な機能を総合的にサポートしてくれる食材なんですね。

   五性について

蓮根は非常に珍しい特徴を持っています。生の状態では「寒性」で、体を冷ます力が強いんです。体に熱がこもっている愛犬、炎症がある子に適しています。しかし、加熱すると「平性」に変わり、体温に大きな影響を与えない穏やかな性質になります。この性質の変化が、蓮根を使い分けられる最大の特徴。愛犬の体質や症状に合わせて、生か加熱かを選べるんですね。

   五味について

蓮根は生でも加熱しても「甘味」を持つ食材。中医学では、甘味には「気を補う」「緊張を取り除く」「胃腸の働きを高める」という作用があるとされています。体に栄養を与え、筋肉を緩め、全体のバランスを整えてくれる味なんですね。蓮根の自然な甘さは、愛犬にとって受け入れやすい優しい味わいです。

   効能について

蓮根(生):体の余分な熱を冷ます
体内の余分な熱を冷まして、炎症や熱感を和らげる作用です。生の蓮根の代表的な効能です。体が熱い、皮膚が赤い、口臭がある、目が充血している、落ち着きがないといった症状に。生の蓮根は寒性の性質で体の熱を取り除いてくれます。特に血熱(血液に熱がこもった状態)に効果的。暑い季節や、体質的に熱を持ちやすい愛犬に適しています。ただし寒性なので、お腹が冷えやすい子には注意が必要です。

蓮根(生):肺に潤いを与える
肺に潤いを与えて、呼吸器の乾燥を改善する作用です。乾いた咳が出る、喉が渇く、息切れしやすい、皮膚が乾燥するといった症状に。生の蓮根はみずみずしく、肺を潤すことで、呼吸器系のトラブルを和らげてくれます。空気が乾燥する季節に特に有効。肺が潤うと、呼吸も楽になり、皮膚の健康も保たれるんです。

蓮根(生):血の熱を冷まし出血や炎症を抑える
血液の熱を冷まして、出血や炎症を抑える作用です。血便、鼻血、皮膚の赤み、熱を持った炎症といった症状に。生の蓮根は血の熱を冷ますことで、出血や炎症を鎮めてくれます。特に熱による出血に効果的。血熱が原因の皮膚トラブルにも適しています。寒性の力が血液に働きかけるんですね。

蓮根(生):瘀血の改善:
滞った血液を動かして、血の巡りを良くする作用です。皮膚のくすみ、古い怪我の痛み、関節のこわばり、できものといった症状に。生の蓮根は血の滞りを解消し、巡りをスムーズにしてくれます。寒性で熱を冷ましながら、瘀血も化すという二重の効果。血行不良による様々なトラブルに内側から働きかけるんです。

蓮根(生):体に潤いを与える
体の津液(体液・潤い)を生み出して、渇きや乾燥を改善する作用です。口が渇く、よく水を飲む、尿が濃い、体が火照るといった症状に。生の蓮根はみずみずしい野菜で、体に津液を補給してくれます。特に熱による乾燥を改善する効果が高いんです。暑い季節や、運動後の水分補給としても優れています。

蓮根(生):イライラ・不快感を和らげる
イライラや不安、焦燥感などの精神的な不快感を取り除く作用です。落ち着きがない、夜に吠える、興奮しやすい、些細なことでビクビクするといった症状に。生の蓮根は心に働きかけて、精神的な熱や興奮を和らげてくれます。寒性の性質が心身の熱を冷ますことで、穏やかな状態に導くんです。

蓮根(加熱):胃腸の働きをととのえる
脾の働きを活発にして消化吸収力を高める効能です。加熱した蓮根の代表的な働きです。食欲がない、食べても太らない、軟便や下痢をしやすい、お腹の調子が不安定といった症状に。加熱した蓮根は平性に変わり、消化器を穏やかに整えて機能を正常化してくれます。元気がない子、痩せ気味の子、体力が落ちている愛犬に適しています。

蓮根(加熱):食欲の回復
食欲を刺激して、胃の働きを活発にする作用です。食欲不振、食べ物に興味を示さない、胃が重いといった症状に。加熱した蓮根は胃を開くことで、食欲を回復させてくれます。病後や夏バテで食欲が落ちている時に心強い味方。消化もしやすく、胃腸に負担をかけないのも利点です。

蓮根(加熱):下痢を止める
下痢を止めて、腸の機能を正常化する作用です。慢性的な下痢、軟便が続く、お腹が弱いといった症状に。加熱した蓮根は脾胃の働きを高めることで、腸の機能を整えてくれます。特に虚弱による下痢に効果的。生の寒性が下痢を悪化させる可能性があるため、下痢の時は必ず加熱して与えましょう。

蓮根(加熱):体のエネルギーが漏れないよう守る
生命エネルギーの源である「精」が漏れ出るのを防ぎ、体に留める作用です。頻尿、尿漏れ、精液漏れ、体力の消耗が激しいといった症状に。加熱した蓮根は腎に働きかけて精を固めることで、大切なエネルギーが体から漏れ出るのを防いでくれます。シニア犬の排泄トラブルや、体力が落ちている愛犬に心強い味方です。

蓮根(加熱):五臓の働きを補強
心・肝・脾・肺・腎の五臓すべてを補って、体全体を整える作用です。加熱した蓮根の優れた効能です。全体的に虚弱、複数の臓器に不調がある、体力が落ちている、老化が進んでいるといった状態に。加熱した蓮根は体を総合的に補い、バランスを整えてくれます。平性の穏やかな性質で、どの臓器にも負担をかけず、全体を底上げしてくれるんです。シニア犬の健康維持に特におすすめですよ。

   薬膳とは別の角度から…

蓮根はビタミンC、食物繊維、カリウム、タンニンが豊富です。免疫力向上、腸内環境の改善、水分バランスの調整、抗酸化作用に優れた、栄養価の高い野菜です。

効能グループ

生の場合
加熱の場合

調理方法

1

煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

蓮根は、蓮の根の部分を指します。

「蓮」=植物全体。花・葉・実・根など、それぞれに異なる薬効。清らかで涼やかな働きが多い。
「蓮根」=根の部分。

蓮の実の効能は、こちら

蓮根は、シュウ酸を含みます。水にさらしたり、下茹でして茹で汁は捨てて、使う事をおススメします。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※れんこん 根茎 生
 
カロリー
66kcal
タンパク質
1.9g
脂質
0.1g
カリウム
440mg
リン
74mg
【参考文献】
・一般社団法人 日本中医食養学会(2019)『食症状の知恵 薬膳食典 食物性味表』株式会社 燎原書店発行.
・文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年”.
※その他、主な参考文献はこちら
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