帰経
脾、肝、腎、心
五性/五味
温/甘、鹹
   脳・血・筋骨をまるごと支える、鰯!

鰯は小さな魚ながら、栄養と生命力をぎゅっと蓄えた食材です。中医学では、体に必要なエネルギーと血を補い、全身の巡りを良くする魚として扱われます。とくに成長期や活動量が多い愛犬、年齢をかさねて筋力や気力が落ちてきた愛犬にも役立つ存在です。また脳や神経、視力、心の安定にも働きかけると考えられていて、身体だけでなく心のケアにも寄り添う温かい力をもつ食材です。日常のごはんに取り入れやすく、頼りがいがありながらやさしい相棒のような存在と言えるでしょう。

   帰経について

鰯は脾、肝、腎、心の4つに働きかけます。「脾」は消化吸収や筋肉の生成を担当する臓器。「肝」は血液の貯蔵や筋腱を管理し、「腎」は生命力の源であり、骨や脳、成長・老化を司っています。「心」は精神活動や血液循環を担う臓器。つまり、鰯は愛犬の消化、血液、筋骨、脳、精神という、体と心の基盤を総合的にサポートしてくれる、非常にバランスの良い食材なんですね。

   五性について

鰯は「温性」に分類されます。これは体を穏やかに温める性質。熱性ほど強くないので、バランス良く取り入れやすいんです。冷え性の愛犬、元気がない子、お腹が弱い子に適しています。寒い季節や、体が冷えやすい体質の子には特におすすめ。温めながら滋養するという性質が、鰯の大きな魅力です。

   五味について

鰯は「甘味」と「鹹味」の両方を持つ食材。甘味には「気を補う」「緊張を取り除く」「胃腸の働きを高める」という作用があり、鹹味には「軟化させる」「潤す」「下に降ろす」という作用があります。この2つの味の組み合わせが、鰯の体を深く補いながら、硬いものを柔らかくし、潤いを与える力を生み出しているんですね。

   効能について

脳を健やかにする
脳の機能を高めて、認知力や記憶力を維持・向上させる作用です。鰯の代表的な効能の一つです。認知機能の低下、ボーッとしている、反応が鈍い、学習能力が落ちたといった症状に。鰯は腎と心に働きかけることで、脳に栄養を届け、神経機能を活性化してくれます。中医学では腎は脳と深く関係しているんです。シニア犬の認知症予防や、成長期の子犬の脳の発育に心強い味方。継続的に取り入れることで、いつまでも聡明な愛犬でいてもらえるでしょう。

胃腸の働きをととのえる
脾の働きを活発にして消化吸収力を高める効能です。食欲がない、食べても太らない、軟便や下痢をしやすい、お腹が弱いといった症状に。鰯は消化器を温めて機能を正常化し、食べたものをしっかりエネルギーに変える手助けをしてくれます。元気がない子、痩せ気味の子、冷えによる消化不良を起こしやすい愛犬に適しています。温性と甘味の組み合わせが、胃腸に優しく働くんですね。

目の健康を守る
目の健康をサポートする作用です。中医学では肝は目と深く関係しています。目やにが多い、涙やけがある、視力が落ちてきた、目がかすむといった症状に。鰯は肝に働きかけることで、目に栄養を届けてくれます。また、含まれるDHAやビタミンAも目の健康維持に役立つんです。加齢で目が弱ってきたシニア犬や、目のトラブルを抱える愛犬におすすめですよ。

精神を安定させる
精神を落ち着かせて、不安や興奮を和らげる作用です。不安、そわそわする、夜に吠える、落ち着きがない、興奮しやすいといった症状に。鰯は心に働きかけて、精神的な不安定さを改善してくれます。血を補うことで心を養い、気持ちを落ち着かせるんです。ストレスを感じやすい愛犬、神経質な性格の子、環境の変化に敏感な子に心強い味方。精神が安定すると、睡眠の質も向上するでしょう。

筋肉と骨を強くする
筋肉と骨を丈夫にして、運動機能を高める作用です。関節が弱い、足腰がふらつく、筋肉が落ちてきた、骨が弱いといった症状に。鰯は肝と腎の両方に働きかけることで、筋肉に栄養を届け、骨を強化してくれます。カルシウムやビタミンDなどの栄養素も、骨の健康をサポート。成長期の子犬、運動量の多い愛犬、シニア犬の筋力維持に適しています。継続的に取り入れることで、しなやかで強い体を保てるんですね。

血の巡りを良くする
血液の流れをスムーズにして、滞りを解消する作用です。皮膚のくすみ、冷え、関節のこわばり、古い怪我の痛みといった症状に。鰯は血行を促進し、体の隅々まで栄養と温かさを届けてくれます。血の巡りが悪いと起こる様々なトラブルに、内側から働きかけるんです。特に冷えと血行不良を同時に抱える愛犬に効果的。温性と活血作用の組み合わせが理想的なんですよ。

気を補う
生命エネルギーである「気」を補充して、元気を取り戻す効能です。疲れやすい、動きたがらない、すぐに息が上がる、声に力がない、病後で体力が落ちているといった状態に。鰯は脾の働きを高めることで気を作り出し、全身に活力を届けてくれます。虚弱体質の改善や、日々の体力維持に継続的に取り入れたい食材。温めながら気を補うので、冷えと虚弱の両方を抱える愛犬に最適なんです。

血を補う
血液を増やし、質を高める効能です。貧血や栄養不足に働きかけます。貧血気味、顔色が悪い、疲れやすい、被毛の色が薄い、爪が弱いといった症状に。鰯は脾と肝の両方に働きかけることで、血を生成し全身に届ける力を高めてくれます。鉄分やタンパク質などの栄養素も、血液の材料として優れているんです。出産後や病後の回復期、貧血傾向のある愛犬に心強い味方。血が充実すると、体全体に活力が戻ってきますよ。

   薬膳とは別の角度から…

鰯はたんぱく質が豊富で、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB群、DHA・EPAを含みます。骨・脳・皮膚や被毛・筋肉の健康維持に役立つ食材として広く知られています。

効能グループ

調理方法

1

頭と内臓を取り除きます(うろこもあれば取り除きます)

2

骨ごと圧力鍋で煮て、骨が柔らかくなるまで煮ます。

3

※下処理されている鰯の場合、骨を気をつけて(綺麗に取り除く)、煮る/蒸す/焼く(焼く場合は蒸し焼き推奨)

ポイント

小骨が多いので、ミキサーでペーストしてつみれ等にするのも良いです。

注意点

皮膚の状態が悪い場合(お腹の湿疹等のカイカイ等)は、控えて下さい。

主な栄養素(分量 100 g あたり)

成分名
※まいわし(生)の場合
 
カロリー
156kcal
たんぱく質
19.2
カリウム
270mg
ナトリウム
81mg
【参考文献】
・一般社団法人 日本中医食養学会(2019)『食症状の知恵 薬膳食典 食物性味表』株式会社 燎原書店発行.
・文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年”.
※その他、主な参考文献はこちら
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