鯛は愛犬の生命力を優しく育む滋養食材
「めでたい」の語呂合わせでお祝いの席に登場する鯛。実は中医学薬膳の世界では、愛犬の体を深いところから支えてくれる優れた食材なんです。消化を助け、生命力を補い、腎臓をいたわる。鯛には、こんなにも心強い働きが詰まっています。
帰経について
真鯛は脾・胃・腎の3つに働きかける食材なんです。
脾は消化吸収を担当する臓器で、食べたものを体のエネルギーに変える働きをしています。脾が弱ると食欲不振や軟便、疲れやすさといった症状が現れます。
胃は食べ物を受け入れて消化する場所。脾と協力して、体を養う源を作り出しているんです。胃の調子が悪いと、食欲が落ちたり吐き気が出たりします。
腎は生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長や生殖、老化に深く関わる大切な臓器です。腎の働きが弱ると、足腰が弱くなったり、排尿トラブルが出たり、老化が早まったりするんです。
鯛はこの3つの臓器に同時にアプローチして、愛犬の体を根本から支えてくれます。
五性について
真鯛は「微温性」に属するんです。
微温性は温性よりもさらに穏やかで、体をほんのり温める程度の性質。強く熱を加えないので、ほとんどの愛犬に使いやすい性質といえますね。
冷えやすい体質の愛犬はもちろん、平熱の子にも負担なく与えられます。体を極端に冷やしたり温めたりしないので、季節を問わず活用できる食材なんです。
ただし、体に強い熱がこもっている愛犬や、炎症が激しい時には、涼性の食材と組み合わせるとバランスが取れるでしょう。
五味について
真鯛は「甘味」を持つ食材なんです。
甘味は体を穏やかに補い、緊張を和らげる働きがあります。五臓の中でも特に脾に作用して、消化吸収の力を高めてくれるんです。
甘味の食材は、エネルギー不足を補い、疲れた体を回復させ、痛みを和らげる性質も持っています。愛犬にとって受け入れやすく、体に優しい味わいといえますね。
鯛の上品な甘味は、胃腸に負担をかけずに栄養を届けてくれる。だからこそ、体力が落ちている時や病後の回復期にも適した食材なんです。
効能について
脾の働きを健やかに保つことを意味します。脾は食べたものを消化吸収して、体のエネルギーに変える重要な役割を担っているんです。
脾の働きが弱ると、どんなに良い食事を与えても、しっかり栄養として吸収できません。食欲不振、軟便、疲れやすさ、毛艶の悪さといった症状が現れます。
真鯛の甘味と微温性は、脾を穏やかに温めて、その働きを助けてくれるんです。消化吸収の力が高まれば、食べたものがしっかり体の栄養になる。結果として、愛犬の体力や免疫力の底上げにつながります。
胃腸が弱めの愛犬や、シニア期に入って消化力が落ちてきた子に、鯛は優しく寄り添ってくれる食材といえるでしょう。
「精」は、生命活動の根本となるエネルギーのことです。中医学では、腎に蓄えられている「精」が、成長や生殖、老化のスピードを左右すると考えるんです。
精が不足すると、成長が遅れたり、生殖機能が衰えたり、老化が早まったりします。足腰の弱さ、歯の脆さ、被毛の艶のなさなども、精不足のサインなんですね。
真鯛は腎に働きかけて、この大切な精を補ってくれる食材。特に成長期の子犬や、繁殖を考えている愛犬、シニア期の老化予防に心強い味方になってくれます。
精を補うことは、愛犬の生命力そのものを底上げすること。毎日の食事に鯛を取り入れることで、長期的な健康維持をサポートできるんです。
腎の働きを補い強化することを指します。中医学でいう腎は、現代医学の腎臓だけでなく、泌尿器系や生殖器系、そして老化に関わる機能全般を含んでいるんです。
腎の働きが弱ると、排尿のトラブル(頻尿や尿漏れ)、足腰の弱さ、耳の聞こえの悪さ、被毛の艶のなさ、寒がりといった症状が現れます。
真鯛の補腎作用は、こうした腎虚(腎の働きが弱った状態)を改善する手助けをしてくれるんです。特に加齢とともに腎の働きが衰えてくるシニア犬にとって、日常的に取り入れたい効能ですね。
腎は生命の根本を司る臓器。鯛が腎を補うことで、愛犬の若々しさと活力を長く保つサポートができるでしょう。
体に溜まった余分な水分を排出する働きです。体の水分代謝が滞ると、むくみや腹水、関節の腫れといった症状が現れるんです。
水分代謝に関わる臓器は、主に脾と腎。脾は水分を体の必要な場所に運び、腎は不要な水分を尿として排出します。真鯛はこの両方の臓器に働きかけるので、水分代謝を整えるのが得意なんですね。
湿気の多い時期に体が重だるくなりやすい愛犬や、むくみが気になる子、心臓や腎臓に負担がある子にとって、鯛のこの作用は体の巡りを改善してくれる力になります。
余分な水分が流れることで、体が軽くなり、動きやすさも変わってくるでしょう。
体の腫れや炎症を鎮める働きです。腫れは、その部位に水分や熱、気血の滞りが溜まっている状態なんです。
真鯛の余分な水分を流す作用が余分な水分を流し、微温性が気血の巡りを改善することで、腫れを引かせる効果が生まれます。
関節の腫れ、リンパ節の腫れ、皮膚の腫れぼったさなど、様々な腫れに対して、鯛は内側から穏やかにアプローチしてくれるんです。
特に慢性的なむくみや腫れに悩む愛犬にとって、鯛を継続的に取り入れることで、体のバランスが整っていく手助けになるでしょう。
母乳の分泌を促し、流れを良くする働きです。出産後の母犬が十分な母乳を出せるよう、サポートする効能なんですね。
中医学では、母乳は「気血」から作られると考えます。脾胃が食べ物から気血を作り出し、それが乳汁になる。真鯛は脾胃を健やかに保つことで、気血の生成を助け、結果として母乳の分泌を促すんです。
出産後の母犬は体力を大きく消耗しています。鯛の滋養強壮効果と通乳作用は、母犬の回復と授乳の両方をサポートしてくれる、ありがたい働きといえるでしょう。
子犬を育てている母犬に、鯛は心強い栄養源になってくれます。
薬膳とは別の角度から…
薬膳の視点だけでなく、栄養学的にも真鯛は優秀な食材なんです。
良質なたんぱく質が豊富で、消化吸収率も高いのが特徴。愛犬の筋肉や被毛、皮膚を作る大切な栄養素がしっかり摂れます。
タウリンが豊富に含まれていて、心臓の健康維持や目の機能をサポートしてくれます。犬は体内でタウリンを合成できますが、食事から摂取することで、より健康維持に役立つんです。
DHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸も含まれています。これらは脳の発達、認知機能の維持、炎症の抑制に働きかける大切な栄養素。特にシニア犬の脳の健康維持に期待できますね。
ビタミンB群が豊富で、エネルギー代謝を助けます。ビタミンB1、B2、B6、B12などが含まれていて、疲労回復や神経の健康維持に役立つんです。
ビタミンDも含まれていて、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を守ります。
カリウムが豊富で、体内の余分な塩分を排出し、血圧の調整にも関わります。
真鯛は低脂肪で高たんぱく。消化に優しく、胃腸に負担をかけにくい食材です。中医学の効能と栄養学の知見、両方の視点から見ても、愛犬の健康を支える理想的な食材といえるでしょう。
加熱した鯛の身は柔らかく、骨も取り除きやすいので安全に与えられます。めでたい席だけでなく、日常の食事にぜひ取り入れてみてくださいね。








